16. ページ25
「うん。知ってるよ。驚いた……え、Aちゃん……知り合い？」
「今松本さんが担当してる派遣社員さんなんです。この間私が研修を担当したんです……その……男の子のシングルマザーで……」
その先をはっきり聞けず戸惑っていると、和也くんが少しハァと息を吐き出した。
「んー、なんか読めてきた」
「え」
「ハユはもう何年も前に付き合ってた子だよ」
もしかして松本さんから話すだろうと分かっていたのだろうか？元カノなのは認めるみたいだし、それなら話は早いか……
「彼女の息子さんの顔が……貴方にそっくりでした。その理由を、聞かせてください」
私の言葉に……少し困ったように眉を下げた和也くんが、手をギュッと握ってきてから呼吸を整えて話し出す。
「あ……そっか会ったんだ？」
「はい。すごく可愛い子で、笑顔が和也くんそっくりでした」
その瞳の真っ直ぐさに嘘はないと思うから、私はそれをまっすぐに見つめて答えを待つ。どんなことを言われても受け止めたい。
「あの子はオレの子……だけど、オレの子じゃないんだ」
「どう言う事……ですか？」
「血は確かに繋がってる。戸籍もね。ただ……あの子の父親は書類上はオレだけど」
そこでハタと気がつく。
和也くんには二人の兄がいて、家を継いでるって……
「まさか……お兄さんの……？」
「うん。ハユとウチの長男、和晴兄さんの子ども……」
それは不貞な関係だから？表に出せない？
「察しの良いAちゃんなら気づいたよね……和晴兄さんは奥さんも娘も居る人なんだよ」
「え、でも和也くんの元カノなんだよね？」
なぜ、子どもがお兄さんとの間に？と疑問に思うと和也くんが唇を自嘲気味に引き上げた。
まるで自分を嘲るような笑い方で胸が痛くなる。
「ハユは兄さんが好きで……オレに近づいたんだってさ」
「そんな……」
「品行方正、眉目秀麗、大企業の跡取り息子で手が届かない兄目当てに、気軽に会えるオレに来るオンナは他にも沢山いたけどね。ハユは少しだけ毛色が違うんだ……聞いてくれる？」
和也くんがそう言うなら、ここは聞いたほうが良いだろう。
「うん。聞かせて？」
そのまま和也くんが私の腰を引き寄せて抱きついてきた。
「ありがとう……」
夜はまだ長いから、話を聞かせて？和也くん……
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咲詩(さきうた)(プロフ) - りりさん» りりさん。有難うございます(T_T)こちらにまで……やっと終わりました（笑）そうですね、混沌とした世界に射す光がどうか温かいものでありますように。私たちにも彼らにも。素敵な言葉を有難う御座いました！ (2020年1月22日 22時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
りり(プロフ) - やっと読めました！あ、つばきです（笑）たくさん、たくさんの素敵なお話をありがとうございます。これから、鮮やかな彩りに満ちた世界が待っていますように。彼ら5人にも私たちにも (2020年1月6日 23時) (レス) id: 2112e3c25f (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 橘花さん» 橘花ちゃん。いつも本当にありがとう。そうだね、書いてて痛かった笑……でもその傷があるからこそ縁を感じられて大事にできる人になれるんだと思う。完全なる私の願望だけどね笑今まで本当に有難う (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 郷さん» 郷さん。そうなんですね……私の場合たまたまこのタイミングになってしまったんですが作品についてのお知らせをメッセージさせて頂きますね。読んでくださって大好きと言ってくださって本当に有難うございます。コメントを読んでいて涙が出ました (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - めぐぽん(*´･∀･)さん» めぐちゃん。ありがとうこちらこそいつも読んでくれてコメントまでくれて感謝しかないし、大好きだよ。今まで本当にありがとう…… (2020年1月5日 7時) (レス) id: 1da0056f17 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年10月24日 23時
