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「あ……」
見れば……いや見なくても、もう声だけでわかっていた。
「また会ったね」
榛色の瞳の彼がトレイを持ってそこに立っていて……その姿を見た瞬間、心臓が跳ねる。
「はい……」
隣いいかな？と聞かれたのでどうぞ、と促す。そういえばいつの間にか隣が空いている。
「熱心に見てたね、やっぱりその作者のファンなんじゃない？」
「今回の展示でファンになっちゃったかもしれません」
綺麗な彼は手にはメロンパン一つ。それで足りるのかなぁ？などとチラチラと見ていると
「これ食べたいの？……でもあげないよ？」
とイタズラっ子のように片側だけ唇を引き上げてから舌を出して笑った。可愛らしい笑顔でまたまた心臓が跳ねる。
「ち、違いますっ」
「そ？すんごく欲しそうな目で見るからさぁ」
欲しそうな目ってそれじゃあ食いしん坊みたいじゃない！とちょっと恥ずかしくなってしまうと、唐突に名前を聞かれた。
「ねぇ、何ちゃん？」
「……Aです」
Aちゃん、と口の中で彼が呟く。その響きがなんだかくすぐったかった。
ものすごく若くも見えたけど、改めてこうして並んで話すと大人の感じもする。
(年齢不詳だな……)
「あー、怪しい者じゃないよ？二宮と申します、営業のサボり中……フフ」
出してきたのは名刺だった。そこにはインテリアや雑貨のデザインや輸入業の会社名と役職にはクリエイターとなっている。
「クリエイターさんなのに営業を？」
「小さい会社だからさ、何でもやんのよ、社長もクリエイターだし」
「ああ、なるほど」
出されたからには……と、名刺を出そうとして鞄の中に無いことに気付く。そうだった、通勤用のバッグでは無かったのだ。
「名刺持ってなかったです、ごめんなさい。人材派遣会社の事務をやっています」
頭を下げた私に二宮さんが優しく微笑みかけた。その目許の優しさに益々ドキッとしてしまう。
「休日なんでしょ？仕事の物は持ちたくないよね……そか事務員さんなんだね。すげぇ綺麗で可愛い格好してるし、平日の昼間だし……どんな職業の人かなぁって勝手に想像してた」
「え」
綺麗とか、可愛いとかさらりと発言したよこの人……この見た目でモテないはずないからこんな事も慣れてるんだろう。
どうせ行きずりの人だ。大した意味はないのだから、素直に
「有難うございます。言われたことないので嬉しい」
そう笑って返したら、それを見てか、二宮さんもとても嬉しそうに笑った。
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咲詩(さきうた)(プロフ) - はるちさん» はるちさん。コメントありがとうございます！まぁ、以前から読んでくださっていたなんて嬉しいです！解説員も愛してくださってありがとうございます。私にとっても思い入れがありますので嬉しいです。 (2019年6月21日 15時) (
レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - なおちさん» なおちさん。お久しぶりです、いつもありがとうございます。(´∀｀*)ｳﾌﾌ偶然も奇跡ですよねぇ。移転先については青い鳥さんで今回お伝えした通りですのでどうぞまた宜しくお願いします。コメント嬉しかったです！ (2019年6月21日 15時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
はるち(プロフ) - はじめまして。コメント書かせて頂くのは初めてですが、お話は以前から読ませて頂いてました。久しぶりの咲詩さんのお話で色んな二宮さんを思い出して何度も読み返しちゃいます。プラネタリウムの二宮さんとか夜空を見上げると思いだしたりして…。懐かしいです。 (2019年6月20日 17時) (レス) id: 041d0ce1ae (このIDを非表示/違反報告)
なおち(プロフ) - 久々の咲詩さんのお話！めっちゃ嬉しいです。私もここでまさかの出会い、再開に感謝です。主人公ちゃんの出会いも偶然だからこそ、奇跡。移転先、念の為もう一度教えて欲しいです！またたくさんお話に出会いたいです。 (2019年6月19日 22時) (レス) id: 4cd26d7ff0 (このIDを非表示/違反報告)
咲詩(さきうた)(プロフ) - 栞さん» 栞さん。コメントありがとうございます！ものすごく久々にこちらに書いてみましたよー……他の場所の件はすでにお話済かな？まだのようでしたらメッセージ致しますのでお声掛けください┏○))ほっこりしていただけて良かったです！ (2019年6月19日 22時) (レス) id: 2be9ef90a6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：咲詩(さきうた)
| 作成日時：2019年6月17日 0時
