Hey you！【O.S】 (ページ7)

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7.現在のベランダページ7

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そしてこのアパートに引っ越して来て5年目。
27歳だった私は32歳になった。
仕事も生活も順調。
恋愛面ではどうだろう、成就はしてない。

…そう、してない。
だって未だにサザエヘアでベランダ越しで一緒に飲んでるもん。
明らかに成就してる図とは思えない。

びゅっと北風が通り抜けた。
寒い、だって11月下旬だもの。

仕事の帰り道ちょっと急ぎ足でアパートの階段を駆け上がる。
タイトスカートだから足が上がりにくいのがネック。
そしてこのスカート、寒いから毛糸の腹巻着けてるせいで窮屈。
決して太ったとかそう言うんじゃないし！
今のところキープしてるし！！

かじかむ手でバッグから鍵を出してドアを開ける。
部屋に着いた瞬間
ジャケット、スカート、ストッキング、シャツ。
身に纏うものほぼ脱いで片付けて着心地の良い高校のジャージに着替える。

緩く巻いた髪の毛はサザエヘアにして冷蔵庫からビールとスルメを持参。
歩む先はやっぱりベランダ。
お隣さんが仕切りから顔をちょっと出す。
手には安定の一番搾り。

「おかえり」
「…ただいま」

彼の少し赤みを帯びた頬がふにゃんと緩んだ。
どんだけキュートなんだろう。
これが女装してたら本当に男の人落としちゃいそう。
ちょっと女装姿を妄想しながらスルメをカミカミ。

「あ、良ければスルメどうぞ」
「頂きます」

二人でスルメをカミカミ。
ビール片手に月を眺めて味わう。
味が出てきた、やっぱりうまーーい！！

「ねえ、A」

呼び方が変わって意外と経ってるのになれない時がある。
ふとした時にそう呼び捨てされるとドキドキする。
自分が呼び捨てするのは平気なのに、不思議。

「ん？」

あくまでも平然を装う。
内心ドッキドキしてるけどね！？

「もうすぐ俺の誕生日」
「ふふ、知ってる」

11月下旬に入ったって事は智の誕生日が近い。
今年もきた！恒例行事！ってノリ。

「何か欲しい物ある？」
「ずっと言ってんじゃん！」
「なによ」

なによ、って何言おうとしてるかはもう分かる。
こちらも毎年恒例みたくなってきてる。
でもその度にね、私は気が気じゃないんですよ？

去年もその前の年も。
その言葉にどれだけベッドの上で悶えたか、分かるか。