36.現実 ページ36
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目が覚めて行為の証拠が辺りに散らばっていた。
例えば雑に脱ぎ捨てられた服。
例えば横にすやすやと可愛い寝顔で眠る智。
…やばい。
夢？いや頬っぺをつねっても痛いだけ。
やっぱ夢じゃない。
智の柔らかそうな頬っぺを包み込んでみる。
ふわふわしてる。
「可愛い…ふへっ」
「んふっ…そんなにオイラかぁいい？」
「うわ！」
バッチリ目が合った。
あからさまに驚いてしまった。
だって距離近いしましてや起きてると思わないじゃん！！
「起きっかすげぇ迷った」
「起きないでほしかった…」
「スケベしようとしてたんだべ。Aってば変態」
「どっちが変態よ。もう…」
朝から智はおバカだ。
はぁ、とため息を吐きながら重い体を起こして服を拾い集める。
光に照らされてビックリ。
身体中に紅の跡。
こんなに付けられてたの！？
昨日は暗かったから全然見えなかった。
その犯人がにょきっと首元から顔を出してきた。
「ありゃりゃ…こんなに付いちゃったか」
「あんたが付けたのよね？」
「お っぱいんとこしか付けないつもりだったのに…」
キョトンっとした顔で智が言うから軽くほっぺをつねっといた。
「いてぇ！」って騒ぐ智を背にせっせと着替えた。
今日が休日という事は智は安定の趣味に時間を費やしたいはず。
今までそうだったし付き合ったからって急に私が「デート行きたい！」なんて言ったら予定を狂わしちゃうし嫌な顔されそう。
「えっ、帰っちゃうの？」
着替えて立ち上がった私を見つめる智。
そのセリフと可愛い顔にずっきゅーん。
相変わらずスナイパーは現役。
「今日一緒に過ごしたかったんだけど」
あれ…？予想外。
智がそんなこと言うなんて！
胸きゅんセリフにズンドコ節を歌いそうになるのを堪える。
「せっかくの休みだよ？智好きなことしなくていいの？」
「今したい事はAと居ることなんだけど…嫌？」
「…私も一緒に居たいデス」
「んふふ。よし」
「…智って付き合うと意外と彼女思いなのね」
「どう意味だよ。俺だってね頭ん中好きな子ばっかになっちゃうんだからな」
ふんって何故か自信満々に言った智がおかしいくらい可愛い。
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作者名：きりりん
| 作成日時：2017年12月8日 9時
