4.そんな五年前の冬でした ページ4
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「来た！」
風間くんがインターホンの音を聞いて玄関に向かってダッシュ。
あぁ、リビングのドア開けっ放し！
この間、約3.5秒。
素早くガチャっとドアを開ける音がした。
「大ちゃん、お帰り！」
うーん、リビングからだと玄関の様子が見えない。
チラりとバレない程度にリビングのドアから様子を見てみる。
“大ちゃん“と呼ばれたその人がひょこっと顔を出した。
それはそれは可愛い笑顔に釘付け。
ドンピシャ…？
「かざまん〜お出迎えありがと」
可愛い笑顔だなとか思ってたけど、
意外と思ってたより声が低い…？
ギャップ！？ギャップなの！？
改めて笑顔をまじまじと見る。
ふわふわ、ふにゃふにゃって空気。
タレ目で下がり眉でパーツが整っている。
同い年くらいかな…？
髪の毛は落ち着いた茶髪でふわふわ。
季節に合った黒の革ジャンを着こなしている。
細身でスタイルが良いと見た。
「婆ちゃん、爺ちゃんただいまー！」
多分二人に聞こえるようにちょっと大きめに挨拶する大野さん。
あかん、風間くんと二人でリビングに来る。
見てたことバレたらちょっと恥ずかしい！
そそくさとコタツに戻る。
足音が近づく度、ドキドキ。
ヤバい、タイプって奴かもしれない。
27になって初の一目惚れをしたかもしれない。
いや、でも！！
気のせいって言うパターンもある訳だし。
うん、そうよ。
だから落ち着け私ーー！！
「ねえ、その子婆ちゃんと爺ちゃんの娘？」
その言葉にピシャリ、
桜庭さんも佐々倉さんも私も固まる。
「うふふっ私と佐々倉さんの隠し子って？」
「うん、オイラが居ない間に発覚みたいな」
「残念だがそうは行かずな…ちなみにワシの娘はもうちょっと老けとる」
何故か心底残念そうに佐々倉さんが言った。
どこに残念がってるの、佐々倉さん！！
「て事はお隣さん？」
「そうよ、ほら、Aちゃん自己紹介！」
やり取りを呆然と見つめる私の肩を桜庭さんがポンポンと優しく叩いた。
「は、半年前に隣に引っ越して参りました！三戸Aと申します」
危ない、声が裏返りかけた！
平常心平常心と落ち着かせて頭をぺこりと下げる。
「大野智って言います、よろしく」
頭を上げ思わず近すぎてぎょっとした。
でも動揺したのを悟られるのが恥ずかしくて
ちょっとぎこちない感じで笑うと相手は柔らかく微笑んだ。
あ、この笑顔本気で好きかもしれない。
そう思ってしまった、五年前の冬。
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作者名：きりりん
| 作成日時：2017年12月8日 9時
