Hey you！【O.S】 (ページ27)

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27.Like U... ページ27

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「じ、実はその…私店長が好きで」

ソワソワしたと思えば女の子はもじもじしながら小さな声でそう言った。

大学生くらいだろうか。
モカブラウンの綺麗なボブ。
目はクリクリで男子ウケ良さげなルックス。

なのにまさかあのおっさんみたいな店主が好き…？

「部長…店主って昔モテてたんですか？」
「俺の中にそんな記憶ねぇよ」
「今人生最初で最後のモテ期ですかね」
「多分それだわ」

顔を見合わせて部長とうんうん頷き合う。

「さしずめコイツが村上といい感じに見えたとか？」

コイツ、と親指を私に向けながら部長が女の子に言うとゆっくり頷いた。

指の指し方スタイリッシュですかよ…
てか私と店主がいい感じに見えてたなんて思いもしなかった。

「す、すみません…勘違いしてしまっていて」
「大丈夫ですよ。それより店主の事射抜くのを頑張ってくださいね！応援してます」
「あっありがとうございます！」

柔らかい笑顔で頭をぺこりと下げてパタパタと厨房に戻っていった。

…可愛い。
超可愛いじゃないですか。

「恋する乙女って感じですね」
「だな。あーあ、村上ついにモテ期かぁ」
「あら…部長羨ましいんですね？」
「は？羨ましくねーし」

ぶっきらぼうに言う部長がちょっと可愛く見える。

だがしかしだ。
本人は気付いてないかもしれないけど社内はもちろん、なんなら社外でも大モテ。

店主を羨ましがる事ないくらいなのに。
張本人って気付かないものなのかもしれない。

「おまちどうさん。ジョッキとタコわさです」

お、噂の店主がわざわざ提供してくれた。

この店主にあんな可愛い子って…
確かに店主は部長とはまた違ってはいるけど顔は整っている。
でも中身が完全におっちゃん。

店主に奥さん出来たならもっと男らしい姉御って感じなのかぁとか思ってたけど…

案外店主の好みだったりして…？

「だとしたら店主…頑張ってね」
「え、何？俺めちゃくちゃ頑張ってるやん」
「そういうとこだよなぁ…」
「待って翔くん何そのそういうとこって、なに」
「良いから厨房戻れよ」
「なんや翔くんまた反抗期か」
「ははっうるせぇわ」

店主がチャームポイントだと自負する八重歯を見せて笑って厨房に戻っていった。

さて食べようとタコわさに箸をつつき始めた頃。

「お前は居んの？好きな奴」

私の手を部長の声が止めた。