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「…姐さん」

「言わんでも分かっておる。アチラさんも…ちと意気込んでおるようじゃな」



 会場に足を踏み入れた瞬間に感じた“視線”。まるで私たちを待ち侘びていたかのようなそれで、ヨシザキさんの方もAたちの目的に気が付いていることが分かった。更に、それに対応した準備もしている。

 ───つまり、戦争は静かに始まったのだ。一方的な奇襲でも何でもない。お互いがお互いの首を狙わんと、この会場にいる間は命の保証は無い。騙し合いである。

 マしかし、そんなドラマな展開も何百回何千回と経験してきているので、それ程では計画の崩れとは言えない。当初の計画のまま尾崎さんは首領について周り、中原さんは何人か顔見知りに話しかけに行った。

 私はと言うと、特に何も仕事がないので(それが仕事なので)フラフラと適当にほっつき歩き、テーブルに美しく並べられた軽食を楽しんでいた。

 ほんの一瞬くらいは毒が盛られている心配もしたが、こんな大皿料理でピンポイントに私の食べる部分だけ毒を盛るなんて芸当は出来ないだろうとタカをくくって皿に取る。

 取ったのはローストビーフとよく分からない小皿。料理の説明も書いてあったけれど、ほとんどカタカナでなんなのかさっぱり分からなかった。

 料理を楽しんだあとは、ボーイの持ってくるワインを断って端のソファに腰掛ける。ホール全体を見渡せるその場所につけた自分を褒めつつ、客からしたら完全な壁の花だろうなと自虐的な笑いがこぼれる。

 暫く手元のミネラルウォーターに口をつけたり、お手洗いに行ったりを繰り返して誤魔化していると、不意に視界に影が差す。見上げると、同年代に見える2人の男が笑っていた。



「お嬢さん。おひとりですか」

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アボカドサラダ(プロフ) - 抹茶あいすさん» 嬉しいお言葉を沢山ありがとうございます! そうですよね、私も甘い対応が多いと思うのですが夢主はそう思ってないみたいです笑 これからもよろしくお願いいたします! (2022年7月25日 19時) (レス) id: cf05fdb6e7 (このIDを非表示/違反報告)
抹茶あいす(プロフ) - そんな素振りなかった、みたいなこといってますけどだいぶ甘かった気がするのは僕の気のせいでしょうか?こういった話はあまり読まないのですが、文章が読みやすくて、面白く読ましてもらってます!!更新頑張って下さい!! (2022年7月25日 16時) (レス) @page45 id: f01e2a172c (このIDを非表示/違反報告)
アボカドサラダ(プロフ) - 白ちゃんさん» お読みくださりありがとうございます! (2022年7月21日 18時) (レス) id: cf05fdb6e7 (このIDを非表示/違反報告)
白ちゃん - 面白かったです。 (2022年7月21日 18時) (レス) @page41 id: 0a2f8cc4e7 (このIDを非表示/違反報告)
アボカドサラダ(プロフ) - ゆなんさん» 憧れだなんてありがとうございます! 夢主も喜んでいます。文章についてもお褒め頂き嬉しい限りです。マフィアは大変ですが実力さえあれば大量の金銀が手に入る世界ですからね^^ 頂いた言葉を胸に更新頑張ります! (2022年1月21日 8時) (レス) id: cf05fdb6e7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:アボカドサラダ | 作成日時:2021年9月18日 12時

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