21.緑 ページ21
朝から仕事に行くのが嫌だった。
前なんて全然大丈夫だったのに
これは体力の問題じゃなくて
精神的な問題だってことは
わかっている。
俺が昨日差し入れたドーナツ。
俺のせいで活動も少し制限されてしまってるメンバーへ向けて送ったのだが
こんな俺の送ったドーナツ食べないか。
と思ってみんなが帰ったあとその楽屋に行くとドーナツは箱ごと消えていた。
誰かが食べたか、それとも箱ごと
捨てたか。
とりあえず仕事には行かないといけない。
最近はマネージャーに迎えに行ってもらってない。
マネージャーは他のメンバーを迎えに行くから。
前までだったらその車に乗って
朝から騒いでたけど
今はそんなことできないし
これから戻ることはないだろう。
仕事場に向かうため
歩いている。
色々な道を通る
薄暗い細道だって。
俺には最近悩み事が増えた。
それは誰かにつけられてること。
俺がなかなか最近番組も出ないし
理由を知りたいからって
ついてきてるのかなって思ってた。
ほら、今日もついてくる。
でも、どうしよう。
いつも多少の距離があって
大通りに出るとその人はいなくなるのに
今日は歩くのが早いし…まだ
大通りには出れないのに。
もう、ここは勇気を振り絞って
振り向いてその人と話そうと
思った。
俺は止まるとしばらくして
ついてきていた人も止まる。
そして振り向くと
阿部「っ…」
喋ることは出来ない。
タオルで抑えられているから。
これは、薬の匂い。
タオルには薬が染み付いているようだ。
俺は数分後意識を失った。
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作者名：喜梨果 | 作成日時：2021年3月22日 8時
