32 桃 ページ32
佐久間「なんで？俺だって強いし…」
母「ダメ。」
弟「ねぇ、学校の先生に言っちゃえばいいじゃん」
父「あまり大事にしたくないんだ。面倒くさいし。だから直接注意をするだけ。すぐに帰ってくるから大人しくしとくんだぞ。」
俺と弟は大人しく家で待っていた。
家を出てから10分…
弟「ねぇ、まだ？」
佐久間「まだだよ」
家を出てから30分
弟「まだ？」
佐久間「まだ」
家を出てから1時間。
もう、さすがに遅いって思った。
お父さんは早く帰ってくるって言ったしただ注意をするだけだ。
弟「ねぇ…遅くない？」
するとインターホンが鳴った。
弟「お母さんとお父さん？」
俺もそう思いドアを開けるとそこに立っていたのは警察の人だった。
警察「大丈夫？無事だった？」
佐久間「えっ？」
警察「とても言いづらいが、君達のご両親は亡くなったんだ。」
お母さんとお父さんが？
信じたくなかった。
帰ってくるんじゃないの
弟「嘘だ！」
警察「嘘なんかじゃない」
そう言われ警察の人と一緒に病院へ来た。
警察「刺殺…。刺されちゃったんだ。」
俺らはお母さんとお父さんの眠る姿を見て
今までに感じたことのない悲しみや辛さ苦しさが襲った。
結局刺した犯人は学校の先生で、逮捕された。
俺らは施設へ行くことになった。
施設ではなかなか馴染むことが出来なかった。
ある日学校へ行くと俺と弟は先生に呼び出された。
先生「君達のご両親のお陰で一人の子を救うことが出来た。本当にありがとう。」
よかった。
お母さん、お父さん！
ありがとう！
お陰で一人の子を救えたみたいだ。
佐久間「その子、どんな子なんですか？会いたいです。友達になりたいです。」
そう言うと先生はしばらく黙っていた。
そして
先生「その子は今入院してる。」
佐久間「入院？」
先生「あの先生に沢山殴られ、それも原因だし、ストレスも。そのせいで…記憶喪失になってしまったらしい。」
佐久間「記憶喪失？」
先生「その子の担任の先生もお見舞いに行くんだけど、覚えてないらしい。」
佐久間「それでもいい。お友達なりたい。」
先生「それはやめた方がいいよ。今君があの子のところに行けば混乱しちゃうかも。また、何年後かにお友達になってあげてね。あの子の名前、阿部亮平くんだから。覚えてあげてね。」
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作者名：喜梨果 | 作成日時：2021年1月2日 10時
