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ヒュッと風が肌を掠めていく。
落ちていく速度が上がる中、地面に近づくと体中に念紋―アウラ―が描かれる。
『、』
手を地面に伸ばせば、ポゥーと青いサイミアが浮かび上がる。
普通では死ぬかもしれない衝撃を緩和し、ユネは難なく地面に足を付く。
ユネが降りた側にいた民は、その存在を視界に捉えると縋るように声を荒げる。
「巫女様!!」
「み、巫女様ぁ!!」
「助け、助けて!!」
『早く中へ逃げなさい!!』
普段は一般人には解放しない、巫女や首長、長老会しか入れない建物の扉を開ける。
この島の中では1番頑丈な造りとなっている。
ユネが勢い良く開けた扉に、我先にと人々は流れ込む。
「巫女様!」
『何をしてるの!!早く入りなさい!!!』
肩にから滲む血を抑えながら、扉に入らず、ユネに駆け寄る女性。
早く入るように声を荒げるが、女性は「助けて、助けてください!!」と泣き叫びながら、ユネに縋り付いた。
「む、娘が!!娘がまだあちらにいるんです!!」
『!、』
指を指す方角を見れば、妖しげな仮面を身につけるピエロのような存在達がいる。
その足元は、ここからだと太陽の光で分かりにくいが、水溜りのようなものが広がっていた。
ー あれはもう ー
思わず出そうになる声。
『助けて!!私はどうなってもいいから!あの子だけは、あの子だけはぁ!!」
その思考を止めるように、投げかけられる悲痛な叫び。
ユネは一度目を閉じると、小さく息を吐く。
『(落ちつけ、怒りを抑えろ・・・、感情を爆発させるな・・・)』
サイミアの力は、感情で動くと言ってもいい。
こんな惨劇、まだ状況を完全に理解できてないが、
大切なこの場所、人々を失う今
それを奪う存在
怒りと悲しみで身が引き裂かれそうになる
唇を噛み締めれば、鉄の味が口内に広がる。
それと同時に目を開き、その場所へと走る。
その瞬間、崩れるようにその場に女性は座り込む。
助けて、
助けて
助けて
その言葉走る中、脳裏に何度も響いた。
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霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 美海-miuna-様。再びコメント本当に嬉しいです!最近は更新できず、楽しみにして頂いてるのに、すみません(TT)ゆっくりでもちゃんと最後まで書こうと思ってるので、長い目で見守ってください!(^^)ここから物語がある意味始まるので、頑張ります! (2018年2月23日 17時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
美海-miuna- - 霧花さん» 再びコメント失礼します!更新楽しみにしてました!読んだ今、オウニがあぁぁああ!!という状態です笑読みながら涙してしまい、ますます今後の展開が気になります!! (2018年2月17日 13時) (レス) id: f365a2d487 (このIDを非表示/違反報告)
霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 語り出したら止まらないです(笑)こうして、クジ砂という素晴らしい作品を通して、色々な方々と交流できて、本当に幸せです(*^^*)更新には波がありますが、今後も頑張ります! (2018年2月7日 0時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 美海-miuna-様。コメントありがとうございます!凄く嬉しいです(^^)やっと2人を会わせられました!長かったな、と私もしみじみ感じました(笑)美海-miuna-様は舞台クジ砂も好きなんですね!私も大好きです(*^^*)舞台、アニメ、漫画、全てのオウニが素敵過ぎて! (2018年2月7日 0時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
美海-miuna- - やっとオウニと主人公が関わるところが読めて嬉しいです!霧花さんの書くオウニもとってもかっこよくて、惚れてまうやろー!!って状態です(笑)この先どうなるのか楽しみにしています! (2018年2月6日 19時) (レス) id: f365a2d487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霧花 | 作成日時:2018年1月19日 17時