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「・・・・っ・・・何を・・・・」
こんなにも自分の声は弱々しいものだっただろうか。
オウニは小さく言葉を漏らす。
『オウニ、好きよ。・・・好き、・・・大好き、愛してるわ』
けれどもその問いとは違う応えを返す。
気づけば解かれていた手、ユネはその両手でオウニ頬を包み込む。
『・・・貴方が私を同じように想ってくれて、本当に嬉しい。
そんな人と出逢えたことは、本当に幸せなこと』
ゆっくりと頬を撫でる指。
オウニはゆっくりと言葉を紡ぐユネから視線を逸らすことができなかった。
『周りに反対されて、挫けそうな時、
それでも応援してくれる人に支えられて、頑張ろうと思った。
いつか認めて貰おう、いつか貴方と堂々と一緒にいられるように』
「ユネ・・・、!」
すっとユネの指先がオウニの唇を塞ぐ。
『でもね、根本的に違っていたことに気づいたの。
“私の存在”が貴方に無理をさせてしまう、私が貴方の足枷になる』
唇を塞ぐユネの手が僅かに震える。
口に弧を描いたまま、その笑みは変わらないが、哀しそうに目を細める。
『そう思えたら怖くなったの・・・、
いつかの未来で私のせいで貴方が、無理をして傷ついてしまうのではないかと』
「―」
『そんなの耐えられない・・・、私の個人の“願い”や“幸せで”、
周りが悲しむのも、貴方が悲しむのも傷つくのも』
「ふざけるな・・・っ、そんなの勝手にお前が思っているだけだろっ」
唇を抑えていた手をどけられ、オウニの低い声が響く。
怒り、悲しみ、どんな感情の色を彼は出しているのだろうか。
それを見ないように、蓋をするように、
目を背けるように、ユネはオウニを抱き締めた。
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霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 美海-miuna-様。再びコメント本当に嬉しいです!最近は更新できず、楽しみにして頂いてるのに、すみません(TT)ゆっくりでもちゃんと最後まで書こうと思ってるので、長い目で見守ってください!(^^)ここから物語がある意味始まるので、頑張ります! (2018年2月23日 17時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
美海-miuna- - 霧花さん» 再びコメント失礼します!更新楽しみにしてました!読んだ今、オウニがあぁぁああ!!という状態です笑読みながら涙してしまい、ますます今後の展開が気になります!! (2018年2月17日 13時) (レス) id: f365a2d487 (このIDを非表示/違反報告)
霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 語り出したら止まらないです(笑)こうして、クジ砂という素晴らしい作品を通して、色々な方々と交流できて、本当に幸せです(*^^*)更新には波がありますが、今後も頑張ります! (2018年2月7日 0時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
霧花(プロフ) - 美海-miuna-さん» 美海-miuna-様。コメントありがとうございます!凄く嬉しいです(^^)やっと2人を会わせられました!長かったな、と私もしみじみ感じました(笑)美海-miuna-様は舞台クジ砂も好きなんですね!私も大好きです(*^^*)舞台、アニメ、漫画、全てのオウニが素敵過ぎて! (2018年2月7日 0時) (レス) id: 7d4352a5a2 (このIDを非表示/違反報告)
美海-miuna- - やっとオウニと主人公が関わるところが読めて嬉しいです!霧花さんの書くオウニもとってもかっこよくて、惚れてまうやろー!!って状態です(笑)この先どうなるのか楽しみにしています! (2018年2月6日 19時) (レス) id: f365a2d487 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霧花 | 作成日時:2018年1月19日 17時