5 ページ5
.
今日からまた佑亮が来る。
あたしはデートの日みたいに、緩い三つ編みをした。
佑亮は、この髪型を好きと言ってくれた。
「行ってきまーす」
「行ってらっしゃーい」
家を出ると、佑亮の姿。
……今日は、本を読んでいなかった。
だから、あたしに気づくのも早い。
「おは……ああああっ！！」
メガネをしていない佑亮が、あたしを見て目を見開いた。そんな佑亮に、ニヤけを堪えながら挨拶をする。
「おはよう」
「三つ編み！！」
わかりやすく喜んでくれる佑亮に、あたしはドヤ顔をかました。
「わー、出た、その顔」
あたし達は、手を繋いで歩き出した。
佑亮があたしに話しかける。
「新しい席どこだと思う？」
「……新しい席？」
そう言えば昨日、席替えしたんだっけ。
「一番前は嫌だなぁ」
「あたしも嫌だ。小笠原が近すぎて」
一番前だと寝にくいし。寝るけど。
向こう側から散歩をしている犬が歩いて来て、佑亮が反応した。
「あの犬種……キャバリアキングチャールズスパニエル！」
「へぇ、キャバリアキング……何て？」
呪文みたいなんだけど。
「イギリスのワンちゃんだよ」
うん、知らなくても生きていける。大丈夫。
住宅街を抜けると、学校の生徒がチラホラ見えて来る。でも、あたし達は手を離さない。
"本物のカレカノ"になったんだから。
手を繋いだまま学校の近くを歩くのって、なんだか緊張する。
「あれ、川村さんじゃない？」
「ほんとだ……っていうか、あんな男子居たっけ？」
周りからそんな声が聞こえて来る。
ふんっ。あたしの隣は福田佑亮よ。
下駄箱で靴を履き替えて教室に入る。
あたし達は手を繋いだまま。
「Aおは……」
教室の真ん中の方の席で楽しそうに話していた留美子や恵里はもちろん、騒がしい教室中が一瞬で静かになった。
「……おはようございまーす」
あたしは平然を装って、黒板に貼ってある新しい座席表を佑亮と見に行った。
あたしの席は、廊下側から3列目の前から3番目。教室のど真ん中。
……なんと驚くことに。
「佑亮隣じゃん！」
「ほんとだ！」
廊下側から4列目の前から3番目。佑亮も、教室のど真ん中。
留美子はあたしの前の席で、佑亮と反対側のあたしの隣が恵里だった。
あたしは、隣の席に座っている佑亮と、今日提出の宿題やった？とか、どうでもいい(よくない)ことを話していた。
クラスメイトは、相変わらずポカーンとしている。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 553人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
こいずみ(プロフ) - ももさん» ここまできたら卒業書くしかないですね……笑 (2018年9月18日 11時) (
レス) id: 497c91c86c (このIDを非表示/違反報告)
もも - これは高校卒業時期の話が気になります…楽しみに待っています (2018年9月17日 2時) (レス) id: c60f7736c8 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - ももさん» わあああまたコメントくださってありがとうございます！！癒しだなんて、、ちょいちょい更新していきます！ (2018年9月5日 9時) (レス) id: 497c91c86c (このIDを非表示/違反報告)
もも - 続きが更新されてる！！ありがとうございます！待ってました。本当にこの小説癒しです (2018年9月4日 19時) (レス) id: c60f7736c8 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - HYさん» ありがとうございます(;_;)！！リクエストまで……！！考えてみます！！嫁の尻に敷かれるユースケくん想像できすぎますね笑 (2018年2月5日 23時) (レス) id: 497c91c86c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：こいずみ | 作成日時：2017年8月12日 12時
