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弟くんや妹ちゃんは部活で居ないらしく、佑亮と二人きり。
佑亮の部屋の布団の上に二人で座り、佑亮はあたしが落ち着くまで抱きしめてくれた。
「……落ち着いた?」
涙が止まってきた頃、佑亮にそう聞かれ、あたしは頷いた。
あたしは佑亮から少し離れ、部屋を見渡した。
机の上には問題集が積まれているし、床には赤シートが落ちている。枕元にもノートがあって、ちゃんと勉強しているんだな……と思う。
「……佑亮は偉いね」
「なに?突然」
佑亮が少し笑った。
「……あたし、受験勉強全然できてない」
留美子も恵理も、あたしより沢山勉強している。
「あたし、全然頑張ってない。頑張れない……」
こんなのがあと半年も続くなんて。
「耐えらんないよぉ……」
また泣きそうになって、あたしは手で顔を覆った。
あたし、人前で泣くタイプじゃないのに。
「Aは頑張ってるよ」
佑亮のその言葉だけで涙が溢れるほど、あたしは今弱っている。
佑亮はまたあたしを抱きしめてくれた。
「この前、小笠原先生に英語少し伸びて褒められてたじゃん。夏期講習も寝ないで頑張って問題解いてるし、先生の話だって寝そうになりながら頑張って聞いてるじゃん」
「……うん」
「一緒に勉強してるときも、わからないところはちゃんと調べてるし、それでもわからなかったらタカミちゃんに聞いてるじゃん」
「……」
「僕、Aが頑張ってるの知ってるよ」
大好きな人に、大好きな優しい声でそう言われて、あたしの涙腺ははち切れた。
あたしは佑亮に元気をもらってばかりだ。
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こいずみ(プロフ) - ももさん» ここまできたら卒業書くしかないですね……笑 (2018年9月18日 11時) (レス) id: 497c91c86c (このIDを非表示/違反報告)
もも - これは高校卒業時期の話が気になります…楽しみに待っています (2018年9月17日 2時) (レス) id: c60f7736c8 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - ももさん» わあああまたコメントくださってありがとうございます!!癒しだなんて、、ちょいちょい更新していきます! (2018年9月5日 9時) (レス) id: 497c91c86c (このIDを非表示/違反報告)
もも - 続きが更新されてる!!ありがとうございます!待ってました。本当にこの小説癒しです (2018年9月4日 19時) (レス) id: c60f7736c8 (このIDを非表示/違反報告)
こいずみ(プロフ) - HYさん» ありがとうございます(;_;)!!リクエストまで……!!考えてみます!!嫁の尻に敷かれるユースケくん想像できすぎますね笑 (2018年2月5日 23時) (レス) id: 497c91c86c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こいずみ | 作成日時:2017年8月12日 12時