地味男と一週間の罰ゲーム２ (ページ38)

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「…………くださ～い」

肩を揺さぶられる感覚に、僕はうっすらと目を開いた。ベッドの横に、Aが立っていた。保健室の先生は居ない。

「……あ、A……ごほっ」

「お弁当、食べれる？」

僕は起き上がる。スッキリした。
今日は、ちゃんとお腹空いてる。

「もちろん。食欲はいつでも満タンです」

「は？」

Aはちょっとだけ笑って、それにつられて僕も笑った。
僕達は保健室のソファーに座って、お弁当を食べた。

「失礼します」

保健室のドアが開いて、入って来たのはたくちゃんだった。

「ごめん遅くなった」

「いえいえ」

たくちゃんは保健室の隅にある椅子を持って来て、お弁当を食べ始めた。

「熱あるなら遅れてくりゃいいじゃん」

たくちゃんにお説教される。
お母さんと同じようなこと言ってる。

「だって今日で終わりだし……」

「今日で終わりでも、別にお互い離れ離れになるわけじゃ無いんだし」

「そうだけど……うん」

僕は、罰ゲームが終わったら、Aの迷惑にならないように、Aから離れるって決めたから。

先生が戻って来て、僕は体温計を渡されて、脇に挟んだ。

「食欲はあるのね。安心したわ」

「食欲はいつでも」

「満タンです」

Aが一緒に言ったのが面白くて、僕達は笑った。
今日で終わるのが嘘みたい。

僕の熱は無事に下がって、昼休みが終わって僕達は教室に戻った。

午後の授業が始まる。
Aはまた珍しく起きていて、スマホも触っていなかった。

放課後になって、Aが僕の席に近づいて来た。

「福田、帰ろ」

僕は頷いて教室から出て、階段を降りようとした。

「福田～、川村～」

後ろから声がして、僕達は振り返った。

「わっ、小笠原先生」

「教室はこっちだよ」

「……え？センセー何言ってんの？」

僕達の頭にはハテナが浮かぶ。

「昨日の授業内で言ったよ。今日の放課後に小テストの追試やるって」

昨日は早退したから、僕は何も知らない。
Aは多分寝ていたから知らないんだと思う。

小笠原先生に連れてこられて、僕達は教室に入った。
北沢さんと宮野さんの後ろにAが座って、僕はその隣に座った。

僕、追試の勉強何もしてないや。
僕はとりあえず単語帳を眺めた。

テストの紙が配られて、小笠原先生が合図で追試が始まる。
ザッと見て、2問くらいしかわからない。

「終わり～」

あっという間に5分が経ち、小笠原先生がテスト用紙を回収し終えて、教室はすぐにガラガラになった。