地味男と一週間の罰ゲーム２ (ページ31)

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河川敷の僕の定位置に着くと、僕はAの手を離して芝生に座った。
……あれ、なんか今日、ちょっと寒い？

僕はAに手招きをすると、Aは僕の隣に座った。

「ここが僕のお気に入りの場所」

そよ風に吹かれながら、僕達は向こう岸を眺めた。
向こう岸にはカップルが寄り添って座っていた。

「佑亮って、川が好きなの？」

「うん。落ち着く」

「……っそ」

それからしばらく無言の時間が流れた。

……もし、僕とAが罰ゲームで関わらなかったら、Aは僕のことをどう思っていたんだろう。

「……僕達ってさ、なんなんだろうね」

「何が？」

「僕達の関係って、なんなんだろうね」

「カレカノでしょ？明後日まで」

「……そうじゃなくて」

「……？」

言葉にするのが少し難しい。

「今の状態から、罰ゲームの設定を無くしたら、僕達って友達……なのかな」

僕は、Aの何？
僕って迷惑？

「……あたしは、友達だと思ってる」

その瞬間、涙が出そうになって堪えた。
Aがそう言ってくれたのが嬉しかった。
せめて罰ゲームが終わるまでは、Aと今まで通り過ごして、罰ゲームをやり遂げようと思った。

Aから離れるのは、罰ゲームが終わってからでいい。何よりも怖いのは、Aに嫌われることだから。

「……ありがと」

僕は今、ちゃんと笑えてるのかな。
僕を見て、Aが少し、悲しそうな顔をした。

「そろそろ……帰ろっか」

僕は立ち上がって、アスファルトの上に立った。
手は繋がずに、そのまま歩く。

……なんか、鼻がムズムズする。

「……ハックション！！！」

僕のくしゃみで、Aの体が跳ねた。
僕の体にも鳥肌が立った。

「びっくりした……」

鼻から何かが垂れる感じがして、僕は手で鼻と口を隠した。

「ごめんごめん……鼻かませて……鼻水出ちゃった」

僕はティッシュを取り出して、Aに背を向けて鼻をかむ。

「僕、鼻炎持ちなんだよね」

「へぇ……」

たくちゃんには、イビキがうるさいってよく言われる。そんなたくちゃんは、いつも口を開けて寝ている。

鼻をかんだ後、除菌シートで手を拭いた。

住宅街のT字路で、Aと別れる。

「じゃ、また明日ね」

僕は笑顔でAを見送った。

家に帰ると、くしゃみがいっぱい出た。
その度にブルッと体が震える。
……僕、どうしちゃったんだろう。