地味男と一週間の罰ゲーム２ (ページ30)

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それから僕は、授業をまともに聞かなかった。
……いつも真面目に聞いてる訳じゃないし、聞いてはいるけどちんぷんかんぷんだし……。
いつも以上に僕は上の空だった。

"川村さんもさ、迷惑だよね"

この言葉がずっと頭の中をぐるぐるしていて、先生の話が全く聞こえてこない。

思えば、Aは最初、北沢さんの言いなりになって罰ゲームをやらされていた。
たくちゃんが勝手に予約したカップル席だって嫌がっていたし。

今日なんて、"学校の中では仲良くないフリ"って言ってきた。Aは「留美子の要求がヒートアップしたらどうする？」って言っていたけど、本当は僕と関わる時間を減らしたいからかもしれない。

そんな風に考えていたら、思い当たる節が他にも出てきて、本当に僕はAに迷惑がられているのかもしれないって思えてきた。
だから、なるべく関わらないようにしよう……。

放課後になって、席に座ったまま荷物をまとめていたら、Aが寄ってきた。

「帰ろ、福田」

僕は頷いて立ち上がり、リュックを背負った。
校門を抜けてしばらく歩くと、生徒がいなくなる。

なるべく関わらないようにしよう、なんて思っても、Aと二人っきりになると、今までのことを思い出してしまう。

僕が手を握ると照れるA。
僕が迷惑がられているとわかっていても、そんなAの姿を思い出すと手を繋ぎたくなってしまう。

その衝動に負けて、僕はAの手を握った。
Aはいつものように少しだけびっくりしていて、やっぱりそれが可愛くて、僕はついつい笑っちゃう。

迷惑がられているのに、なぜか安心感がある。