地味男と一週間の罰ゲーム２ (ページ29)

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もうそろそろ昼休みが終わる時間。

「あと2日？今日入れて3日、思い出たくさん作っときなよ。後悔しないように」

僕は、罰ゲームが終わったら何か後悔することがあるのかな。
なんとなくある気がするけど、僕はまだそれに気付けない。

教室に戻る途中、僕はAに聞いた。

「放課後、時間ある？」

「うん」

罰ゲームの時間を無駄にしたくない。

「じゃあ、僕のお気に入りの場所、教えてあげる」

僕が微笑むと、Aも微笑む。
その笑顔に、胸が暖かくなる。

僕達は教室に入って席に着いた。
次の授業は英語。
授業が始まるとAはまた寝ていて、教科書の英文を音読していた小笠原先生はAに近づいた。

「川村～」

Aに小笠原先生の声は届かない。
すると、小笠原先生はAの頭を教科書で叩いた。

「川村！」

「ったぁ……」

まるで漫画とかドラマみたいなシチュエーションに、クラスのみんながクスクス笑う。
……僕も中学の頃、こんなことあったっけ。

「毎日毎日よく眠れるな」

「……さーせん」

Aは小笠原先生に適当に謝っていた。

「また補習受けたい？」

「いいえ」

「じゃあちゃんと起きててね～」

小笠原先生は教科書を音読しながら教室の中を歩いた。

僕は教科書を読んでいるフリをして、こっそりAのことを見ていた。
すると、こっちを向いたAと目が合って、思わず頬が緩んだ。Aは僕に舌を出して、ぷいっと前を向く。

うん。可愛い。

けど、Aはしばらくするとまた寝た。
小笠原先生は呆れていて、もうAを起こさなかった。

授業が終わって、僕はトイレに行こうと教室を出た。

……またすれ違う人みんなから視線を向けられる。

「……あ、川村さんとデートした人」

そんなに広まってるの？

「ホントに付き合ってんのかな？」

「えっ、なんか、罰ゲームでしょ？」

「あ～、なんかそんな感じのこと聞いたことあるかも」

罰ゲームってことも知られてるんだ。

「川村さんもさ、迷惑だよね。
私だったら絶対イヤ～」

その言葉に、僕の心臓が嫌なドキドキに支配された。

女子達は「あたしも～」とか言って笑いながら去って行く。

"川村さんもさ、迷惑だよね"

この言葉が頭の中をグルグル回る。

Aに、迷惑。
Aって、僕と一緒に居るの嫌かな。

不安で胸が苦しくなった。