地味男と一週間の罰ゲーム２ (ページ3)

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午後の体育の授業。
今日は体育館。
反面ずつに分けられていて、男子は向こうでバスケをしている。
女子はバスケをやった後にドッジボールをした。

一週間前のこの時間に、あたしが罰ゲームすることに決まった。
……っていうか、決まる前から、あたしがやることは見えていたんだけど。

その時はまだ、絶対嫌とか、最悪とか思ってた。
佑亮と話す前に帰ろうとか思ってた。
でも、佑亮の本当の性格を知ってから、全然最悪な一週間なんかじゃなくて。むしろ、めちゃくちゃ楽しくて、佑亮のこと好きになっちゃったし。
今じゃ、もしかしてなんて無いほど、佑亮のことが好きだってわかる。

だから……

「A！」

留美子の声が聞こえた時、あたしの目の前にボールが飛んで来ていた。
それはあたしの顔面にしっかり当たって、あたしはしゃがみ込んだ。

「いったぁ……」

「Aちゃん……！！ごめんね！！？」

クラスの子が泣きそうな顔で謝ってくる。

「……ううん、あたし、考え事してたから。
あたしが悪い、ごめんね……」

……あたし、何やってんだろ。
ボールに当たった顔以上に、あたしの胸はジンジンしていて痛い。

「ごめん、ちょっと抜ける……」

あたしは体育館の隅っこに座る。
向こう側のコートで、佑亮がバスケをしているのが見える。
パスで回って来たボールを佑亮が取った。
その瞬間、佑亮の顔が歪んだ。
ゲーム終了のブザーが鳴って、佑亮は体育の先生と話して体育館を出て行った。

……ケガ？

授業が終わって、留美子達と一緒に体育館を出ようとした時に、水筒が一つ忘れられているのを見つけた。
その水筒に、見覚えがあった。
今までの一週間、昼休みによく見ていた。

「……あ、先行ってて」

「おっけー」

あたしはその水筒を持って、保健室に向かった。
3日連続で保健室とかウケるけど全然笑えない。

保健室がある1階の廊下を歩いていると、向こうから歩いてくる人影が見えた。
よく見なくてもわかる。佑亮だって。
あたしは佑亮に駆け寄って、水筒を差し出す。

「……あの、これ、体育館に」

「ありがとう」

言い終わらないうちに、佑亮はあたしの手から水筒を取って行ってしまった。
佑亮の指はテーピングされていた。

あたしは呆然と立ち尽くす。
……あたし、なんかした？

なんか、避けられてる。
でも、授業中は目が合う。けど、すぐ逸らされる。
そんな状態が次の日も続いた。

何でこんなに悩まなきゃいけないんだろう。
恋ってめんどくさい。