第十話 ページ10
その時の、家からはモノスッゴク駄目な臭いが漂っていた。
オレも本能で察知した。 いや、あれは本能と言うよりも誰もが思うだろう。
あの家に入ったら駄目だ!と…。
飛んでいたカラスも地べたに堕ち、泡を吹いた。
その光景を頭に思い浮かべるだけであれは家には入ってならないと頭の中で直感する。
が、流石に幼馴染の家が怖くてはいれなかったと母親に告げるのは何か嫌だ!しかし、家にも入りたくはない。
あやふやしている間に、がちゃっと家から誰か出て来た。 それこそ、美水だったのだ。
どうやら美水も呼ばれたらしく、しかし少しだけ顔色が悪そうに思えた。
どうしたんだ?と問えば、見れば分かると返された。
「イヤ、あからさまに家に入りたくねーんだけど」
「そんな事はどうでもいい。 ねぇ、ケータイ持ってる?」
「はぁ…? 持ってるけど… お前、持ってないのか?」
「持ってる。 ケド、今回は家に置いて来てた」
「はぁ…で、何に使う訳?」
「救急車」
「?」
「救急車、呼んで」
「な、なんで…」
「死人が出るよ、早く!」
美水にそう急かされ、救急車を呼ぶ。
駆け付けた救急車の隊員さんに美水は小学校四年とは思えない口調で事情を説明する。
ガスマスクの様なアニメやドラマなどで見るマスクを付けた隊員が家の中に入り、小父さんと小母さんを救出する。
何故こうなったのかと問われれば、娘の料理がを食べたらこうなったと美水は告げた。
ある意味自業自得と言えるが、娘に上目づかいで「食べてくれないの…?」と涙遣いで言われてみよう。 流石に親も食べずにはいられない。
いや、そう言う意味では無く、食べなければ駄目だと本能的な何かが囁くのだろう。
愛奈は一応顔はいい。 だから尚更だろうか…?
そう考えていれば、小父さんと小母さんが運ばれてきた…心配そうな顔をする愛奈。
静かに小父さんと小母さんは遺言の様に愛奈に囁いた…。
「ケーキ……」
「美味しかった……わ……」
そう言って意識を落したのだ。
まるでアレだ…… その時の二人の言葉は――― 遺言の様に、俺は思った……。
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作者名:王獣闘蛇 | 作成日時:2014年4月4日 17時