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第十一話 ページ11

まぁ、何はともあれ。
俺達の精神攻撃により、正気を取り戻した愛奈はくよくよと泣いている。
いや、泣かせるつもりは無かったんだ…… それは、本当だ。 信じてくれ。
多分、嘘泣きだと分かっているからか。 美水が涼しい顔でいいや、涼しいとは優しすぎた。
冷たい、殺気を(にじ)ませたと言ってもいいぐらい冷たいそんな冷血な瞳で愛奈を見ていた。



愛奈「智也の馬鹿ぁ〜!」



わーんと子供の様に泣きわめく幼馴染。
いや、ちょっと待て。 何故俺だけなんだ! そして美水!!
愛奈のその言葉で何故先程まで愛奈に向けていた視線を殺人的視線を俺に送る!
理不尽(りふじん)だ! こういうのを、理不尽と言うんだ! ……… ……… 多分……。



智也「ま、待ってって。 愛奈! なんで俺だけにそんな事言うんだよ!」
愛奈「男の子が女の子に悪口言っちゃいけないって教わらなかった訳!?」
智也「イヤ、教わった――――――――――かもしれないが、だからって全て俺に擦り付けるってのは―――」
愛奈「うぇえええん。 美水ちゃぁ―――ん。 智也がぁぁぁあ…… 智也がぁぁぁぁぁ……」
美水「………」



何故か俺の元から離れ、美水に盛大に抱き着く愛奈。
美水は涼しい顔でそれを受け止め、よしよしと言う効果音が出そうな感じではあるが、真顔で愛奈の頭を撫でた。 もう一度言おう、“真顔で”撫でたのだ。
美水の方を呆れた眼と言うか、“お前も大変だな”的な眼で見れば、美水はそれに瞬時に気が付き口を軽く動かした。
声は出してはいない物の、そして勉強が人並みしか出来ない俺であるが、何となく理解できた。



“ド・ン・マ・イ”



あの美水からそんな言葉を投げかけられると言うのは非常にレアであろう。
しかし、ちょっと待て。
例えレアであろうが、これは酷い。



愛奈「智也がぁぁぁあ! 智也がぁぁぁあ!」



もはやそれだけ言って泣きわめく赤子以下の高校生←
アイツの泣き声だけは凶器と俺は思う。
耳元で泣きわめかれて見ろ、鼓膜(こまく)が破れる。

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作者名:王獣闘蛇 | 作成日時:2014年4月4日 17時

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