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 宮江さんにひとつ断りを入れて、人混みの中を駆け抜ける。運動はそこまで得意ではないが、さほど足が遅い訳では無い。直海を見つけることくらいはできるだろう。
 後ろを振り返ると、一生懸命宮江さんが着いてきてくれていた。ここで私を見失うとヤバいと判断したのだろうか。彼女も方向音痴なのかもしれない。

 しばらく走り続け、人の少ない路地で直海の後ろ姿を見つけた。そろそろ体力が限界だ、ここで合流してしまおう。

「見つけた、直海!」
「あ、詩桜ちゃん、学園見つけたよ!」

 どんな奇跡が働いたのだろうか、私はあの直海に先を越されてしまった。大したことでもないのだが、少しショックである。……そう言えば、直海はちゃんと学園まで案内できるのだろうか。

「学園は、あそこだよ」

 あんなに大きな建物なら気が付くのも当たり前か。ついさっきまで無駄な対抗心を燃やしていた私を、助走をつけた上で全力で殴りたい。
 しかし、私はすぐにまた新たな問題点を発見してしまった。それもふたつ。

「どこよ、入口。それに、宮江さんが……」

 建物を見つけたはいいものの、どこから入ればいいのか分からない。そして、宮江さんともはぐれてしまった。どうすればいいのだろうか。
 宮江さんとはぐれてしまったことはともかく、どこから入るのかが一番の問題だ。学園ってめちゃくちゃ広いらしいし、そのクセして正門ひとつしかないらしいし。今入口から反対方面にいたら、絶望なんだけど。

「ねぇ、ちょっといい?」

 悩んで頭が痛くなってきたとき、不意に後ろから声が聞こえた。振り向くと、宇佐美学園の制服を着た女の子がいた。それも、一年のものと告知されていたデザインと同一のもの。この時間帯に普通寮の生徒が居るわけないし、更に頭がこんがらがってくる。

「わたしは環 凪咲。えっと、夏木 詩桜さんと遠江 直海さんで合ってる?」
「あ、はい……」

 私の目の前に現れた女の子は、入試で華々しく一位を飾った秀才であり、私たちの同級生となる環さんだった。でも、なんで既に制服を?

「とりあえず聞きたいことは色々あるだろうけど、今は後回しね。まずは宮江さんを探そう」

 まあ、環さんにも彼女なりの事情があるのだろう。腕時計を見ると、もうすぐ入学式が始まる時間。急いで宮江さんを探して学園に行かないといけない。……と言うか、環さんの言いぶりからして閏木さんは既に学園に着いているのね。

◇→←【1章 / KaleidoScope】



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設定タグ:オリジナル , 市販書き(一次創作) , ファンタジー   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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星乃(プロフ) - 小鳥さん» コメントありがとうございます。お褒めの言葉を頂き、光栄です。応援もありがとうございます、これからも頑張りますね! (2021年8月10日 23時) (レス) id: 30487c864e (このIDを非表示/違反報告)
小鳥 - 凄く面白かったし、見やすかったです。これからも頑張って下さい。応援しています! (2021年8月9日 17時) (レス) id: 7e59eac1e2 (このIDを非表示/違反報告)
星名ことり(プロフ) - 安眠野郎(星空の武器屋作者)さん» わわ、コメントありがとうございますー!! 好きだなんて……とても嬉しいです(歓喜)これからも応援よろしくお願いします!! (2020年11月1日 10時) (レス) id: 30487c864e (このIDを非表示/違反報告)
安眠野郎(星空の武器屋作者) - 好きです!(唐突)これからも頑張ってください!応援してます! (2020年11月1日 7時) (レス) id: 57a528eae4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:星乃 -Hoshino- | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月11日 7時

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