眠らない姫 3【JW緑赤】 (ページ11)

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#110 /赤side ページ11

赤side
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ふと、目が覚めてしまった。

カーテンの向こうはまだまだ暗くて、朝じゃないことはわかる。

いつもならそこから寝ることなんてできんから、ゴロゴロしたり、起きてみたりするんやけど、今日は、起きたくなかった。

神ちゃん…。

寝る前にはギューってしてくれるのに、寝ちゃうと力が抜けるから、俺から離れてしまう神ちゃんの体。

いつもはそっと離れて神ちゃんが起きるまでゴロゴロしてることが多いんやけど…

もう、気ぃ使わんでいいんよな。

そっと、神ちゃんの体に近づいた。

起きちゃうやろか…

神ちゃんを起こさないように、ゆっくり、ゆっくりと近づいて、彼の肩に手を置いて、顔を寄せる。

あったかい。

神ちゃんの匂い。神ちゃんのぬくもり。

神ちゃんが、俺を安心へと導いてくれる。

このぬくもりに、いつまでも甘えてたい…。

でも、神ちゃんに迷惑、かけるばっかりにならんやろか…。

「どうしたん？」

『…神ちゃん。あ、ごめん。起こしてもうた？』

「……寝れんの？」

薄暗い中で、神ちゃんが悲しそうな顔をしたのがわかった。やばい。俺が寝れてないから困ってる！否定せんと！

『違うねん！あ、や、起きちゃったのは起きちゃったんやけど、その、』

「しげ。」

『…はい。』

「……もぉ。」

ため息をひとつついた神ちゃんが、俺を抱きしめてくれる。どうしよう。また、困らせちゃう。

『…神ちゃん…』

「寝れんのやったら寝れんって言うてくれていいねんで。」

『…でも…』

「今まで寝れんかった人が、俺とおるだけでずっと寝れるようになるわけないやん。ウソ、つかんでもええから。」

『ウソとちゃう。ほんまに、神ちゃんとおったら安心するから、寝つきは良くなるんよ。…けど、その、途中はやっぱり起きちゃうこともあるというか…』

「そうなん？…うーん。けど、とりあえず明日は遅くまで仕事あるし、今日はしっかり寝て欲しいねんなぁ。」

『うん。ごめん。』

「…なぁしげ？」

『ん？』

「そう言えばさ、いつ俺から離れたん？」

『え？』

「だって、さっき寝る時は俺が抱きしめて寝たやんか。なんで離れたりしたん？」

『いや、それは、』

離れたんは俺やなくて神ちゃんやと思うけど…

って言ったらそんなことない！って怒るんかな？

でも、そんなやり取りもいいなぁ。

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