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それからお昼になってすぐ、財布を持って岩ちゃんの教室に走っていく。
後ろからクラスのみんなの困惑したような声が聞こえてくるが、気にしてられない。
授業の合間にある休み時間にもボーッとしてて、みんなにも心配された。
ついには保健室に行くか、と言われた程だ。
「岩ちゃんッ！」
「あ？……及川か。行くぞ」
どこに……と一瞬思ったが、購買かと理解する。
早く早くと岩ちゃんを急かして、俺の好きな牛乳パンを買って、空き教室に行く。
それからしばらく無言で食べ進める。
いつもは美味しく感じる牛乳パンが、今日は何でか味がしないような気がした。
この無言の時間が、何故かすごく怖く感じて。
切り出さないと、と岩ちゃんの方を見ると、スマホを見て難しい顔をしていた。
「岩、ちゃん……？」
掠れる声が、この俺達しかいない空虚な教室に響く。
ハッとしたようにこちらを見る岩ちゃん。
何か言うのを躊躇う様に揺れてる瞳が、さらに俺を不安にさせる。
「何か、知ってるの……？」
いや、確実に、何か知ってる。
ほんの僅かな期待と確信を込めた俺の言葉は、まだ知りたくないと言うように震えていた。
その中で、知らなきゃいけないという感情もある。
四時限目に覚悟を決めたハズなのに。
まだ足りなかったの？なんて自分に問う。
岩ちゃんが俺から目を逸らしてるのをいいことに、そんなことを思ってみたりする。
何かを決心したようにこちらを向いた岩ちゃん。
「及川の症状、何かで聞いたことがあったんだ。それで今調べてみたんだが……」
そこまで言って、再び言いずらそうに口籠る。
そんなに言いずらいこと？
いや、でも記憶を忘れてるんだからそういう事なのかな。
「お前多分、忘愛症候群だぞ」
「ぼうあい、しょうこうぐん……？」
何それ……？
そんな病気、聞いたことない。
「今日の休み時間にお前を呼んだアイツ……相川は、バレー部のマネージャーだ」
マネージャー……？
じゃあ何で忘れてるの？
マネージャーだって大切なチームメイトなのに。
「そして――」
まだ何かあるの……？
岩ちゃんが言いにくそうに放ったその一言は、俺には衝撃過ぎることで。
その言葉の意味を理解して、呆然とする。
「部活の時、始める前に時間貰ってちゃんと話すぞ」
岩ちゃんの言った言葉を理解しないまま、うん、と頷いた。
その後の授業も結局集中できなかった。
「――お前の、大事な彼女だ」
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桜雨-sagume-(プロフ) - 花っち�擦気�» あっ、あっ、ありがとうございます！！更新はノロマですけど頑張りますっ！！！ (2020年2月13日 9時) (
レス) id: b20b2dae4d (このIDを非表示/違反報告)
花っち�� - 奇病系初めて読んだんですが…面白いですね、せつないお話大好きです。ありがとうございます。 (2020年2月6日 18時) (レス) id: a210479166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜雨さん | 作成日時：2018年11月27日 0時
