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「それでねー？」
「お前早く帰れよクソ川……」
そう顔を歪めて言うのは、俺の昔からの親友である、そして幼馴染でもある岩ちゃん。
もー。せっかく及川さんが会いに来てるのに。
「あッ！及川さん、ここにいたんですか。監督からのお届け物です！」
岩ちゃんとダラダラ話してると、教室の入り口から鈴の音の様な綺麗な声が聞こえてくる。
彼女の顔を見て、あれ？と思うが、とりあえず受け取りに行くことに。
「ありがと〜！」
その女の子は、はいっ！と太陽みたいな眩しい笑顔とプリントを残して去っていった。
……可愛かったなぁ。
でも、どうしてだろう。
「……及川？どうした？」
少し雑な言い方だけど、ちゃんと心配してくれてる。
ほんのちょっとの違いでも気づいてくれる。
やっぱり幼馴染っていいよね。
「いや、あのね？」
あの子が大切だってことは分かるんだけど、名前が思い出せないんだよね。
素直に疑問に思ったことを口にする。
何でか分からなくて頭を捻ってると、岩ちゃんがずっと無言なのが気になった。
岩ちゃんの顔を見てみると、心底驚いたように俺の顔を見てる。
顔の前で手を振ってみると、気付いたように口を開く。
「お前、それ……」
だけど、それだけの言葉を発して黙り込んでしまう。
え、何々。
そこで黙られちゃうと、及川さん気になって仕方ないんだけど。
今度は俺が聞こうと口を開く。
……が、そこでちょうどチャイムが鳴ってしまった。
「……及川。昼、また来い。話がある」
岩ちゃんにはそれだけを言われて、教室から追い出された。
……なんだろう。
岩ちゃんのことも気になるけど、それよりあの子。
大切だってことは分かる。
じゃあ何で、名前が思い浮かばないのか。
この次の授業はそれだけが頭を埋め尽くして、集中できなかった。
もちろん怒られた。
でもそんなことはどうでも良くて。
……そういえば、朝にも何でか急に喪失感が襲ってきて、涙が流れて母さんにも心配されたっけ。
あれは、なんだったんだろう。
もしかして、あの子のことかな。
どうして忘れてるの？
脳裏にあの子の笑顔がチラつく。
ずっと、大切だったハズなのに。
……やめよ。
頭痛くなってきた。
思い出したいのに、怖い。
思い出したくない。
忘れちゃいけないのに、そんな考えが浮かぶ。
……今考えても仕方ないか。
お昼の時、岩ちゃんと一緒に考えよう。
……大丈夫、だよね？
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桜雨-sagume-(プロフ) - 花っち�擦気�» あっ、あっ、ありがとうございます！！更新はノロマですけど頑張りますっ！！！ (2020年2月13日 9時) (
レス) id: b20b2dae4d (このIDを非表示/違反報告)
花っち�� - 奇病系初めて読んだんですが…面白いですね、せつないお話大好きです。ありがとうございます。 (2020年2月6日 18時) (レス) id: a210479166 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桜雨さん | 作成日時：2018年11月27日 0時
