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白雲39 ページ40

何時もと変わらず
放課後に花の手入れをする
萎みかけたハイビスカスの花を詰む
名前だけでは派手な花のイメージでも
この中庭の中ではひっそりと咲いている方だ

まだ強い西日に
額からは汗が出てくる
本当は俺の仕事じゃないけど…
折角、咲いているなら綺麗にしたい
同じ生き物だし

そんなことを考えながら作業をしていると
人の気配がした。珍しく人が来たようだ
中々此処には人が来ないから
花を見てもらえると思うと嬉しくなる

まだその人は俺に気付いていないらしく
陰からこっそりその人を見た

ht「…!!」

この前、生徒会で話題となった
Aさんだった

…彼女はとても優しげな目で花を愛でている
時折、『綺麗』だなんて口にしている

男装をしていたが
女子高生だと分かれば女の子にしか見えなくて
男子制服の格好に違和感がある
…ただ、綺麗な子だな、とは思った

彼女はどんどん奥へと進んでいく
俺も気付かれないように
後を付いて行った

その先にはラベンダー畑が広がっている
そんなに広大なものでは無いけど
学校にしては広い土地のため
沢山のラベンダーがこぞって花を咲かせる
風に乗っていい匂いがした

その匂いに釣られるように
俺もラベンダー畑へ近づく
そこには彼女が立っていた

そして
無意識のうちに声をかけていた

ht「綺麗だよね」

小さな肩をビクッとさせ
瞬時にこちらに振り向いた
綺麗な黒目が俺を見やる

『…誰』

ht「…ごめんね。俺はひとらんらん…グルッペンから聞いてないかな?」

警戒していた目が少しだけ緩んだ
…生徒会に悪い印象を持っていないらしい
良かったと内心ホッとする

何だ、と聞かれ
とっさに声をかけたなんて言えず
「綺麗だって言ってくれたから」と
雑な言い訳をする

その後は彼女から話しかけてくれた
最初にコネシマ達から聞いていた話とは
全然違うもので
終いには、手入れの手伝いもしてもらった

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

『…全部終わったか?』

ht「うん、終わり。お疲れさま」

ラベンダー畑から出て、ベンチに座る
少し額に汗を浮かべる彼女は
夕日でオレンジ色に染まっていた

ht「これ…あげるよ」

『…!いいのか?』

ラベンダーの花をあげた
作業中に切り取って束にしただけだけど

ht「逆さにして吊るせばドライフラワーになるから」

『…ありがとう』

彼女はそれを受け取り
嬉しそうにしていた

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志麻セン寄りのcrew - いえいえお役にたてたなら良かったです!! (2019年6月13日 7時) (レス) id: e4b55a25ee (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 志麻セン寄りのcrewさん» はっ!間違ってました!教えていただき、ありがとうございます!!う (2019年6月13日 7時) (レス) id: 72381179a9 (このIDを非表示/違反報告)
志麻セン寄りのcrew - 透明0男は僕にいつも処理させられたなんですけど僕は男にいつも処理させられたじゃないですか? (2019年6月13日 7時) (レス) id: e4b55a25ee (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: x他2人 | 作成日時:2019年6月3日 3時

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