【wrwrd】Crossdresser 【学パロ】【女主】

御空１９ ページ20

もう夕方だからだろうか
開け放たれた窓からは
冷たい風が吹き込んでくる

ps「やっぱり…出て行ってたか…」

カーテンがバタバタとはためき
少し虚しい気持ち

グルちゃんから聞かされた
あの透君、もといAという子は
僕を見るなり、恐怖と絶望した目を向けていた
人間嫌い、中でも男は大の嫌い…か

面白いものを見つけた
そんな顔をしていたグルちゃんは
今日の朝に会った時
「面白い」より「心配」の方が似合う顔で
珍しいと思った

同じクラスだというゾム、ロボロ、コネシマは
昨日、あの子が休んだというだけなのに
ソワソワとしていたらしい

…少しわかる気がした
先程見たあの子は強気な態度だが
見た目は怯えて縮こまった子猫そのもの
教師の立場から、というよりも
一人の人間として心配だ

ps「……ひび割れが酷いな」

この前、くられ先生とちょっとした実験で
薬を使ったせいか
手の皮膚がひび割れしている

…彼女の心はただのひび割れではない
皮膚のように治らない
不治の病にも似たものだ

どうする？
グルッペン達は？
あの子の心を救えるのか？
近づけたとしても…
爪楊枝ほどの尖ったものでも
突き付けられたら
簡単にあの子の信頼は地に落ちるだろう

彼らは不器用だ
でも、金持ちの家で育った割には
とても綺麗な心を持っている
彼らも汚いものを見てきた奴らだ
少しはわかるのだろうか

彼女はもっと汚いものを見てきたのだろうけど
何も話してくれないのでは分からない

ps「少しずつ…あの子の心を開かんと…カウンセリングの役割が果たせへんな…」

彼女が大人になる前に
壊れないように、そっと扱おう
優しく、温かく



そう考えていると
例の女の子を連れて
グルッペンが入ってきたのだった

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