Wind Blowing in Joetsu. 8【新幹線変形ロボシンカリオン】 (ページ38)

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朦朧ページ38

(あ、やばい、身体がビリビリする)

ゆら、と足元がふらつく。視線も彼方此方動いている。ミハルがその異変に気付いた。

【……姉さん、敢えて聞くけど、名古屋まで戻れそう？】
『……いけそう、ギリギリ、無理ってのが順に二割、二割、六割』

反動の衝撃を体内に溜め込みすぎたのか、シオリの全身が痺れを訴えている。先程噛んだ舌の傷はもう癒えている。しかし疲労は拭えない。しかもそれは並の人間の比じゃない。普通だったら既に白目を向いて倒れているレベルだ。

【無理か～……うーん……】
『……一時間休めば、戻れる。今すぐには、無理』
【……うん。姉さんは少し京都支部にお世話になって……あ、何ならE4は一先ず京都支部に置いて、姉さんだけ先に連れ帰ってくれたら此方としても嬉しいんだけど。これ本音ね】

「帰ってきたらなっがーーーい説教が待ち受けているからね」とミハルが一時的に収めていた怒りに再び火をつけつつある。勿論休ませてからではあるが。ひぇ、とシオリは小さく弱りきった悲鳴をあげた。
それに、恐らく休んでも自力で帰らせるのは少々無理があると思われるからだ。

───……連れ帰ってくれたら？

まるで他人行儀な言い方だ。リュウジは首を傾げた。面倒な予感がする。

「……連れ帰る、ってまさか、」
【お、さっすが～物分りが良い！……頼まれてくれるかな、リュウジ？】
『……ボクは疲れたので、好きにしてください』
「………………」

一度気を抜き始めたら思考も回らなくなってきたのか、シオリは考える事をやめた。「姉さん運ぶことくらい造作もないでしょ？」とケラケラ笑うミハルの言い分に、役目を押し付けられているリュウジは表情を少し歪めた。だが途中で倒れられても、それはそれで面倒なので困る。此処は引き受けるか、溜息を吐きながら彼は承諾した。