Wind Blowing in Joetsu. 8【新幹線変形ロボシンカリオン】 (ページ26)

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だがシンカリオンが敵の攻撃を避けている一方で、攻撃を放った《ノブナガスイグン》自身は海中に沈み始めた。その巨体が沈んだ事で水柱が上がる。

『……は？』
「どういう事だ……？」

攻撃が止み、二機は海中に飛び込んだ敵の行動を伺った。まるで何処かに向かっているようである。

【《ノブナガスイグン》より、高熱源体発射！】
『……！〈ブレーカーワールド〉、敵の攻撃を受け止めろっ！』

女性指令員の敵の攻撃を伝える旨に、シオリは捕縛フィールドを破らせるかと咄嗟にブレーカーワールドを展開したが───

『ちっ、距離が……ッ！』

今立っている場所からだと距離がかなりある。それはつまり、反動ダメージが大きくなる上に割られる可能性が非常に高いという事だ。

【ちょっ、流石に無茶だよ！《イヅナ・ブラスター》の時ともブラックシンカリオンの時とも違うんだ！】

《イヅナ・ブラスター》の時はダブルリンク合体によって反動ダメージが三分割されていたこと、同時に壁の厚さは通常の三倍になっていたこと、ブラックシンカリオンの時は展開していたのが殆ど一瞬だったこと、そして両者共に距離がそこまで離れていなかったから良かったのだ。
しかし今回はその全てを逆にしたもの。持続して展開し、ダメージは一人で受け、更に距離が以前よりも離れている。

『ぐ、っ……ぅ……う、ァ、あぁっ！！』

弟の制止の声を振り切ってシオリはブレーカーワールドで防ごうとするが、衝撃は手から腕へと流れていく。ビリビリと、なんて生温いモノでは無い。腕を集中的に鈍器で殴られているような衝撃が走る。歯を食いしばって、舌を噛みちぎる勢いで耐える。
だが大きな悲鳴が上がった瞬間、E4はその場に膝から崩れ落ちた。直後、爆発音に混ざってパリンと硬いものが割れる小さな音が聞こえた。

───捕縛フィールドが、ぐらりと揺れる。

【ブレーカーワールド、並びに捕縛フィールド大破！】
【シオリちゃん……！】
【《ノブナガスイグン》、破壊箇所より逃走！】

障壁が無くなった《ノブナガスイグン》は捕縛フィールドから脱出し、太平洋へと逃走した。

「シオリ！……くそっ、戦わずして逃げるだと！？」
『っ……う、……ち、っくしょ……ごめん、防ぎ……切れなかった……。……腕が付け根から飛ぶかと思った』
【……無茶し過ぎ！身体は大丈夫？！】
『……なんとか』