Wind Blowing in Joetsu. 8【新幹線変形ロボシンカリオン】 (ページ12)

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simulation ※ ページ12

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一室のドアが機械的な音を立てて自動的に開かれた。

部屋の外には二人の少年が立っていて、薄暗い部屋の中では二人の少女がシミュレーションを行っている。
此処は名古屋支部のシミュレーションルーム、浦佐姉妹は並んで別々のシミュレーションを行っていた。

『リュウジとタツミ……二人してどうしたの』

シオリの視線はシミュレーターの画面に向けられたままだが、背後から感じた人の気配───清洲兄弟を察知して声を掛けた。それに返したのは、スマホを片手に持ったリュウジだった。

「ミハルからの連絡だ。俺とシオリ、二人で合同訓練をしろとの事だ。文面から見てお前にも連絡が行っている筈だが、見てないのか？」
『通知音がさっき聞こえたから誰かから連絡が来たのは分かってるんだけど、ミハルからだったのか。ちょっとシミュレーションで手が離せなくて、これ終わったら確認しようとしてたとこ……あ、終わった』

"MISSION COMPLETE"の文字が画面に浮かび上がるとすっと左手をシンカギアから抜き取り、席を立ち上がって荷物のある場所に駆け寄った。鞄からスマホを取り出して弟からのメッセージを確認する。

『……ふーん、うん、成程？』

何とも言えない表情で首を傾げながら内容を眺めた後、画面を落として再び鞄に入れた。するとそのタイミングで薄暗い部屋が次第と明るくなり始めた。マフユもシミュレーションが終わったのだ。

「……えっと、お姉ちゃんとリュウジくんで合同訓練をやるの？お姉ちゃんが居なかった時みたいな事するのかな」

シミュレーションをしながらも背後でされていた会話を聞いていたマフユの発言に、恐らくそうだろうとリュウジは頷いた。

『……ボクが居なかった時は何をやってたの？』
「あの時は……二人一組で連携を取る事を目的としていたんだよ」

マフユが前回の合同訓練の内容を話すとシオリは口角を上げて目を細めながらへぇ、と弓で射られた矢の如く、視線をゆっくりとある一点に向けた。

(こわ……)

タツミは頭の後ろで手を組みながら、そんなシオリの鋭い目と、その視線が向かう先を交互に見ていた。

「……何だ。何かあるなら言え」

鋭い視線を向けられた先───リュウジは不服そうにシオリを見下ろす。身長差で睨まれるように見下ろされているシオリだが、彼女は物怖じせず逆ににっこりと意地の悪い笑みを浮かべた。