身体検査 ページ50
───午前10時、医務室。
「はい、口を大きく開けて〜」
『……あー……』
東日本指令室の担当女医、久留米 ミドリが舌圧子と小さいライトを使ってシオリの口と喉を検査する。
「……うん、異常無しね」
かちゃり、と舌圧子をトレーに置き、結果をカルテに記録していく。
「他も、何処も問題は無し。……でも、その右目が気になるのよね。視力に影響は無い、のよね？」
ミドリが時間をかけてくまなく検査したシオリの身体検査の記録を見返して、一つ質問を投げ掛けた。
『はい。視力は両目共にずっとA判定です』
右目の影響で視力に問題があるかと言われたらそれは違くて、実はシオリはとても目が良い。幼稚園から今までの視力検査で、B判定以下に落ちた事は一度もないのだ。
「成程ね……。その目はいつからそうなってたの？」
『右目が赤かったのは生まれた時からです。……でも、右目周辺の、この黒い痣のようなものは十年ちょっと前くらいから出始めて。最初は目の下にぽつんと、黒子かな、と思ってたんですが徐々に右目の周りを侵食するように広がり始めて……二年くらい前からは収まっているんですが。……痣、とは言ってますけど、押してみても痛みは全く無いんです』
だからシオリは、痣では無いのであれば何らかの影響で皮膚が黒く染ってしまったものである、と考えている。
「……痣とは言っているけど、痣ではない、か。不思議ねぇ……」
ふーむ、とミドリは考える素振りを見せるが、直ぐにお手上げだと降参する。
「その辺は他の人に任せましょうかね。……あ、問題ないと言っても、無理は禁物よ？シオリちゃん、貴女……運転士の子達の中でも一番歳上だから、何か色々と背負いそうな気がして。だから無理は禁物、いい？」
『は、はい』
何でバレるんだろうなーと、心の中で思いながら覆い隠した目をすすす……と逸らすシオリであった。
＿＿＿＿＿
中々にキリが悪いですが続編移行します！！！お手数お掛けします！！！！！！
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 5人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆっきー(プロフ) - とまさんさん» 感想ありがとうございます！文字書きが好きであっても、文系が苦手であるが故に文書にあまり自信がなかったのでとても励みになります…！ (2019年9月6日 15時) (
レス) id: 4e3b74874d (このIDを非表示/違反報告)
とまさん(プロフ) - 文書や設定などがしっかりしており、そちらの面でも非常に勉強になりましたと共に読み応えのある文書だと感じました。まだ全てを読み終えていませんので、また読み終えたら詳しい感想を書かせて頂けたら幸いです。 (2019年9月6日 12時) (レス) id: 5e6944cfc9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー(プロフ) - かなとさん» あっ………続編移行したところでオリジナルフラグは新しく付いてしまうんですね……報告ありがとうございます！ (2019年8月19日 21時) (レス) id: 4e3b74874d (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年8月19日 21時) (レス) id: 1346ef8349 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆっきー | 作成日時：2019年8月19日 21時
