鉄分 ページ15
運転士達が連れられた先は、資料やいくつかの大きな器具、それに三台のパソコンがある部屋。先程、シオリを指令室まで送り届けてくれたヒビキがそこには居た。
パソコン画面には、運転士の様々なデータがグラフ化されたものが映し出されていた。此処にいる運転士達のものであるが、シオリのものは無い。
「君達がシンカリオンに搭乗して以来、我々は何故大人の適合率よりも子供の適合率が高いのかを研究してきた」
「これを見てください」
運転士達は、このデータを見せられる。
「搭乗時のみなさんの脈拍、脳波、心拍数、体温上昇率等をグラフにしたものです」
人によって勿論グラフの形は違うが、それら全てにはある特徴が見られた。
「それぞれ僅かな個人差はあれど、似た形をしているだろう？君達運転士が増えた事で、そのデータに共通点があることが分かってきた」
シオリ以外の五人のグラフを重ね合わせると、全体的に見て、ある一定の場所でグラフの数値が上がって、またある場所では下がっている傾向にあるということが分かる。自分のもそうなのか、とシオリは顎に手を添えて考えた。ミハルに聞けば恐らく分かるだろう。
「これらが一体なんの意味を成すか、それはまだ分かってはいない。しかし、必ずや適合率の解明に繋がると考えている」
「現在はまだ、この各要素を一定の数値化は出来ていないので、総称として"鉄分"と呼んでいるんです」
ヒビキはくるりと運転士達の方を振り向いてそう言った。しかし何故、名称が食材に含まれたりする鉄分と同じなのか。
「ハヤト君の様な鉄道ファンの愛の深さに肖ってね」
「えっ、なんで？」
「ハヤト君のデータが第一号だから」
『……だから"鉄分"なのか』
データ第一号のハヤトの鉄道好きに肖って、そしてシンカリオンは新幹線が変形したロボット。確かに鉄分という名称の理由がこれなら理解出来る、とシオリは一人で頷いている。
「……鉄分、そんな力が……」
当のハヤトは、自分の手を見て不思議な力を自身が持っているのだと痛感する。
───
今思ったけどこの時のグラフと形ってフーリエ級数みたいだなってなりました
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ゆっきー(プロフ) - とまさんさん» 感想ありがとうございます！文字書きが好きであっても、文系が苦手であるが故に文書にあまり自信がなかったのでとても励みになります…！ (2019年9月6日 15時) (
レス) id: 4e3b74874d (このIDを非表示/違反報告)
とまさん(プロフ) - 文書や設定などがしっかりしており、そちらの面でも非常に勉強になりましたと共に読み応えのある文書だと感じました。まだ全てを読み終えていませんので、また読み終えたら詳しい感想を書かせて頂けたら幸いです。 (2019年9月6日 12時) (レス) id: 5e6944cfc9 (このIDを非表示/違反報告)
ゆっきー(プロフ) - かなとさん» あっ………続編移行したところでオリジナルフラグは新しく付いてしまうんですね……報告ありがとうございます！ (2019年8月19日 21時) (レス) id: 4e3b74874d (このIDを非表示/違反報告)
かなと - オリジナルフラグをお外し下さい (2019年8月19日 21時) (レス) id: 1346ef8349 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆっきー | 作成日時：2019年8月19日 21時
