彼女には敵わない（デンジ） ページ14
午後7時。仕事を終えたあとでの帰り道。
デンジが、今日朝食の席で起きた出来事についてすべて話し終えると、Aが真面目な顔で言った。
｢…………つまり、チューがしたいってこと？？｣
｢ちがっっ！！！く、ない！！！けど！！違う！！｣
｢ふふ、どっち？｣
Aがくすくすと笑う。
笑った顔もカワイイ。
｢そっか、それで今日、デンジくんちょっと元気なかったんだんだね｣
Aの言葉に驚いた。
俺がへこんでることに気づいて、心配してくれていたのか。
……マジか、俺のことめっちゃ好きじゃん。
こんなに俺のこと好きなら、他の男にとられるかもとか、そういうのもう気にしなくて良くね？
少し萎れていた自分の心が、めきめきと元気を取り戻していくのを感じる。
胸に引っかかっていたモヤモヤも、今ではどこかに行ってしまったようだった。
｢ねえデンジくん、どうしたら、デンジくんは元気になってくれる？｣
｢あー、なんか、もう元気になったから大丈｣
｢やっぱりチュー、する？｣
｢する！！！！｣
食い気味に答える。
急に、物凄く元気じゃない気がしてきた。
これはきっと、キスしないとどうしようもないレベルのアレだと思う。このままじゃきっと立ち直れない。
｢じゃあ、はい｣
Aが突然立ち止まる。
｢えっ｣
Aは、目を瞑って、唇をこちらに向けていた。
心臓がどくりと大きく跳ねるのを感じた。
ポチタ、ポチタ、やべえ、どうしよう。
背中を大きな汗の雫が伝う。
これはチューしていいってことか。
つーかツラが超かわいいな。最高。
あれっ、ホントにチューしていい流れ？
あとで怒られたりしねえ？
いやいいだろ。むしろここでしないでいつするんだよ。
頭は半ばパニック寸前だった。
落ち着くために、軽く呼吸を整える。
そして、腹を決めてAの肩に手を置いて、顔を寄せようとした。
その瞬間、ぱちりとAの目が開かれた。
それに驚いて声を上げるよりも先に、デンジの両頬に手が添えられる。
ちゅ、とかわいらしい音と共に、柔らかいものが唇に触れた。
Aにキスされたのだと気づいた頃には、もうAは唇を離していた。
呆然とするデンジに、Aは悪戯っぽい笑みを浮かべて尋ねる。
ねえ、デンジくん。
｢元気、でた？｣
｢超出た………………｣
今のデンジには、そう返すことが精いっぱいだった。
＊
リクエスト：dwsalang様
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ちえ - アキくんの夢もまだ少ないのでこれから楽しみに待ってます (2022年10月15日 23時) (
レス) id: 0560ab194e (このIDを非表示/違反報告)
ゆり - チェンソの夢はまだまだ少ないので嬉しいです！とても面白かったです！キャラクターの思考や話し方なんかがとても自然で楽しく違和感無く読めました。次回を楽しみにしています。差し支えなければ、マキマの夢が読みたいです。女夢主であればどんな話でも嬉しいです。 (2021年7月8日 0時) (レス) id: 979541037a (このIDを非表示/違反報告)
肩サラダ(プロフ) - チェンソーマン大好きなのでこういう短編集がすごく嬉しいです、、！最高です！！リクエストをお願いしたいのですが、ビームくんで女主のお話を書いて欲しいです！お時間ある時で構いませんのでよろしくお願いします！ (2021年2月11日 20時) (レス) id: dfa81ef2dc (このIDを非表示/違反報告)
切れ端(プロフ) - ドコサヘキサエン酸さん» コメントありがとうございます！もっと良いものが書けるように頑張りたいです；；本当そう思います！アニメ化がきっかけになって、もっと増えたらいいな…… (2021年1月10日 0時) (レス) id: f24ed74d9a (このIDを非表示/違反報告)
切れ端(プロフ) - あるみくさん» コメントありがとうございます！嬉しいです…！更新頑張ります！ (2021年1月10日 0時) (レス) id: f24ed74d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：切れ端 | 作成日時：2020年4月20日 11時
