ミモザ ページ7
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諸伏景光は本名になってしまうので
偽名は緑川光とさせていただきます。
ご了承くださいませ…。
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両親は正義感が強くて賢くて優しくて私の自慢だった。
いつも忙しそうにして疲れているのだと思っていたが、時折見せる辛そうな表情は子供ながらに気づいていた。
高校3年の夏、
大学に進学して警察官になりたいと告げた。
私の肩を掴み項垂れ、何度もごめんなと言われた時にやっと、今までの点と点が線で繋がった。
その頃の私はまだまだ子供で、警察に助けを求めれば助けてくれると疑わなかったのだ。
正義の味方を信じていた…。
あんなことをしなければ
なにか…変わっていたのだろうか…?
「おはようA!といっても昼ご飯の時間だけどな」
『おはよう光…ごめんなさい折角ご飯作ってくれてたのに…』
欠伸を噛み殺しながら椅子に座ると、冷めたご飯を温めてくれる。監視役というよりすっかり寮母さんといった感じだ。
コードネームを嫌う私は、任務以外では名前で呼んでもらっている。ずっとコードネームで呼ばれていると、自分が自分でなくなってしまいそうで怖い。
『透は?任務?』
「あぁ。報告にこいって呼び出されて朝早くに出ていったよ。
そろそろ戻ってくるんじゃないかな?」
『そんな頻繁に報告にいかなくたって、最近の私は割といい子にしてるのにね』
「ミモザは死にたがりだから死なないように監視しろって言われた日が懐かしく感じるよ」
『全然違うわ!死にたがりなんじゃなくて……
その…そこまで生きることに執着がないだけよ…』
苦笑いしながら温め直してくれたご飯を並べてくれる。
彼のご飯はいつも美味しくて、すっかり胃袋を掴まれていた。
『ん〜今日もおいしい…』
明け方まで任務に出ていた寝不足の身体に染みる。
視線を感じ前の席をみると、頬杖をついてにこにことした彼と目が合った。
『あの…そんなに見られると食べづらいんですけど…』
「いつも思うけど、自分が作ったものを美味しそうに食べてくれる人がいるって…いいもんだな」
驚いて思わず目を見開いてしまった。
なんて心が綺麗なんだと思った。
いつもいつも、彼のストレートな優しさに戸惑う。
どうか彼は"白"であってくれと願わずにはいられない。
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作者名:chi | 作成日時:2022年8月4日 10時