親友だから ページ11
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登庁すると今日も
隈が目立ち眉間にはシワがよっていた。
「ちょっと休んだ方がいいんじゃないの?」
声を掛けるも集中しすぎて気づかない零に思わずため息がでた。
「ゼロ!いい加減にしなよ!」
机の上にある書類の束にバンッ!と手を置くと、ようやくPCからこちらに目線が向く。
「あぁ、ヒロか...」
体調管理も仕事の内だ!と言っている人物とは思えない覇気のなさだ。
「.....空野A」
「え?...そら、の?.....Aって」
「ミモザの本名だ」
最近熱心に調べていることが彼女のことだろうとは気づいていた。
コードネームで呼ばれることを異様に嫌がり、任務以外は名前で呼んでほしいと言っていたが、まさか本名だとは思わなかった。
しかも調べて本名が出てきたということは、彼女はNOCではないということ。潜入捜査をするような奴が本名をそう簡単に名乗るはずがないし、本名を調べればどこかの国の諜報員かどうかなんてすぐに調べられる。
「過去の学歴等に不可解な点はないが、両親の経歴が気になる。大手IT企業に勤めていたのにわざわざ中小企業に異動し、Aが高校生のとき事故で亡くなっている。
その事故の起きる3日前、Aが警察に相談にきた履歴が残ってるんだ」
「.........は...?」
我ながら間抜けな声が出たなと思った。
相談っていったいなんの?
3日後に事故ってことは恐らく組織の仕業だろうけど、相談にきてたのに亡くなった?ってことか?
両親を殺されたならAが組織を嫌っていることも、コードネームを嫌がることも納得はいく。
「ヒロ...手伝ってくれないか?」
いつもの自信ありげな強気のゼロとは違い、とても小さな声。
「それって私情?」
私情?という言葉にわかりやすく眉をひそめたゼロに思わず笑いが込み上げた。
「ハァ〜ァ、悪いっ...あまりにもわかりやすいから驚いちゃって」
「すまない...仕事に私情なんて「私情なら手伝うよ」
ぽかんとするゼロがあまりにもおかしくて、また笑いそうになる。
「だって、
「ヒロ...お前...」
「それに、僕もゼロと同じだから...」
そう、ゼロと同じ…
何故だか、彼女にはもっと笑っていてほしいって思うんだ...
そう思ってるんだろ?
それぐらい、みてたらわかるよ。
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作者名:chi | 作成日時:2022年8月4日 10時