【A3!】優しさを溶かして＿ 【茅ヶ崎至】

リビング ページ7

.



目線を右に移すと、そこには穏やかな笑みを浮かべる男の人の姿。



そう、まさにリアルエンジェル。



優しい笑顔は透き通っていて、
穏やかな物腰もストレートの髪も全てが綺麗。



なんか触ったら消えちゃいそう。


咲也も天使だけど、
この人は大天使だな。うんうん。



「僕は月岡紬。ここの団員だよ。よろしくね」


月岡紬さんか…名前まで儚いな。


「よ、よろしくお願いします！」



紬さんはニコッと笑って、


「それじゃあ、俺は中庭のお花さん達に水をあげなきゃだから…ごめんね」


そう言って、部屋の奥に消えていった。



大天使が…本当に消えていった…。



ボーッと廊下を眺めていると、


「いつまで見てんだ」

と、万里に頭を戻された。


…ｸﾞｷﾞｯ


「い、いた！何すんの！」

「お前、さっきから『天使』だの『儚い』だの口走ってたぞ」


呆れた万里の声。


あらいけない。また口が滑ってしまった。



「それじゃあ、さっそく中に入って！
お茶でも入れるよ！」



いづみちゃんに手招きされて、
私はおずおずを靴を脱ぎ出す。




.

リビング→←リビング

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す