恋する文芸少女は不良に扮する (ページ9)

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七話：夢違いを望んだページ9

目の前に明日人達がいる。

追いつきたくて走ろうとした。

だけどスピードは全く出ない。

転んで顔面からぶつかる。

酷く息苦しいけど、ふわふわする。

「私たち、先に行くね！」

いや、置いてかないで！一人にしないで！

最後に明日人と私だけが残った。

「俺も、行ってくる」

やだ、明日人、置いてかないで、私を、私を、独りにし＿＿＿＿＿＿

「独りにしないでぇ！」

鳥の音が朝の合唱のように聞こえる。

日出を迎えたばかりの紫残る空は天色を映していた。

さっき見たのは夢みたいだ。

夢にしてはあまりにも感覚がはっきりとしていた。それでも内容は現実離れしすぎていたから夢だという事がわかった。

だけどこれは、現実でも起こる。

そう考えると目から生暖かいものが溢れ、違和感を覚えていた頬の上を更に上書きするように何かが伝う。

それはまた固まり、また同じような違和感を作った。