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すっかり元気をなくしたのが一目でわかった。
私がしっかり支えてあげないと。表情筋に力を入れる。
「私なら大丈夫だよ。
…寄り添ってあげれなくてごめんね。
一人にさせちゃって。私達恋人なのに、」
「そうか、恋人…」
「どうしたの?」「いや、何でもない。」
「とりあえず入って」「う、うん」
床の上に佇む十数のビニール袋。…多分コンビニ弁当。
少し予感はしてたけど、間近で見ると胸に込み上げてくるものがある。私が靴を履き替えるとすぐに歩き出し、袋を避けて座り込んだ。
「…良かったら片付ける?」「ある方が落ち着く」
「じゃあ、日がたってるものだけ捨てておくね」
「ありがとうA 相変わらず優しいね」
声や態度は素っ気ないけど、名前を呼ばれるとやっぱりくすぐったい。
「ねぇ、夕ご飯って…」作業をとめて体を向けた途端
「これからは、ここにいてほしい。」
両腕を掴まれた。
「…え?」
「僕の身近な人が亡くなるのをただ見てるのは嫌だ」
肘をついてそう言う。
見惚れたのか、怯えたのか、考える時間も取らずにうなずいてしまった。
荷物を取りに行くのが最後の自由になるなんて。
お昼にしばしば「やらないといけないことがある」と言ってどこかに出かけることがある。
前からデートの途中にジャマトから誰かを守らなきゃとか意味の分からないことを言って先に抜けることがあったしそれ関係かな。
ニュースでジャマトが実在する事をこないだ知ったけど
彼はどうして知ったの?
毎回外が暗くなるまでにはちゃんと帰ってくるけど、いつも胸騒ぎがして、不安になってしまう。
私は景和くんと一緒じゃないと外に出られないのに、
もっと私に頼ったっていいのに、
ズルいよ。
一緒に行こうかと聞いても断られちゃって。
彼がご飯を買う以外に出かけられるようになったのはいい事なんだろうけど。
優しく接してくれるんだけど、なんだかずっとこわい。眼の黒さが家族を失った彼の傷の深さを表しているようで、
でも、ただいまのあとに欠かさず何もなかった?大丈夫?って
聞いてくれるときは自然と笑みが溢れる。
ウブでお人好しな景和くんは
いつの間にかピアスを開けて、一人称まで変わった。
彼の姿を見てて黒いもやもやした液体が体の内にあるような感じがする。
彼がどんなことを外でしているのかは分からないけど、
暗い服で暗い眼のままでも、
掛ける言葉が見つからなくても、
迷わずそばにいてあげたいと思う。
ほっぺつんつんしてみた! “サポーター陣”→←♢大切な人だから “桜井景和”
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まきくるしん(プロフ) - *桜もち。さん» そう言ってもらえて嬉しいです✨ありがとうございました😊 (1月21日 10時) (レス) id: 51f0ca5c0c (このIDを非表示/違反報告)
*桜もち。(プロフ) - わあっ、景和くん書いて頂きありがとうございました💞景和くんとの同棲楽しいだろうな………凄く凄くきゅんきゅんしました!ありがとうございました✨これからも更新頑張って下さい〜!応援してます! (1月21日 10時) (レス) @page6 id: fae296cbc1 (このIDを非表示/違反報告)
まきくるしん(プロフ) - ねるさん» 気にいってもらえたようでなによりです…! (1月18日 3時) (レス) id: 51f0ca5c0c (このIDを非表示/違反報告)
ねる(プロフ) - まきくるしんさん» わ〜〜ありがとうございます!!!本当に最高すぎて頭抱えそうです、本当にありがとうございます…… (1月18日 1時) (レス) @page7 id: 039baaf96f (このIDを非表示/違反報告)
まきくるしん(プロフ) - ねるさん» リクエストありがとうございます!投稿しました✨ (1月17日 8時) (レス) id: 51f0ca5c0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まきくるしん | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kirayomo311/
作成日時:2023年7月6日 19時