＊３０２話 ページ2
「あれ？あそこに倒れてるのって杵島さん？」
なんで？
「大丈夫？杵島さん」
「…こ、ここは…？」
？少なくとも、あちら側の世界じゃないでしょ？
「びっくりしたよー。一人で道ばたで寝てるんだもん。やっぱり一人で来てたんだね〜」
「……っ」
「あ、杵島さんもつける？お花の髪飾り」
私は、先ほどのお花を杵島さんにもつける。
「おそろいだよ。かわいいでしょ」
「沖縄っぽいよねー」
「ボクもつけてる」
何気にアピールするのね…瑞希。
「今からみんなで、ぶくぶく茶飲みに行くの。一緒に行こ？」
「うん…っ」
なんで泣くの？理解が出来なかった。
♂♀
夜。
どうやら私は、バスの中で眠っていたそうだ。
起きたらホテルのベッドの上だった。
「あーあ、明日で修学旅行も終わりかー。今夜が最後の夜だね」
なんだか寂しい気持ちになる。
「まだ帰りたくないなあ」
「お前、あんな目にあっといてまだ帰りたくないのか。おめでたい奴」
「それとこれは別なの！」
「俺は早く帰りたい」
「もう、そんなつれないこと言わないでよ。高校の修学旅行は、これきりなんだから」
「お前は、ものの考え方が刹那的だな。来たかったらまた来ればいいだろう」
巴衛はわかってないな。
「その時は修学旅行じゃないもん。同じ状況なんて二度とないんだからね！どれも、今しかない高校生の思い出だもん。大事にして、大人になって思い出すのよ」
「思い出してどうするのだ？」
「んー…普通に、楽しかったなーって！」
「……」
「巴衛、私のことアホだと思ったでしょーーっ」
「思ってないよ」
絶対、思ってるーーー！
…まあ、いいけど。
「あー楽しかった。じゃあ、また明日ね！巴衛」
おやすみー、と言ってから私はあみちゃん達と部屋に戻った。
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