白いパーカー ページ41
「君、そういえばこの後時間あるか?」
私が降谷さんにさっきの悲しそうな表情の理由を聞こうと思ってそわそわしていると、降谷さんが突然言った。なんだろう?
「まあありますけど。」
「実は風見と定食屋にでも行こうと思っていたんだ。君も来い。」
「……お誘いじゃなくて命令なんですね。でも私、行くならファミレスがいいです。」
「随分と注文が多いな。」
と結局いつも通りの雰囲気になってしまい、とてもさっきのことを聞ける様子ではなかった。
お店に行く前に、私の着替えと風見さんのお迎えを兼ねて警視庁へ向かうことになった。私のロッカーにはトレーニング用のTシャツとスウェットがあり、制服で行くよりはマシだろうということで着替えに行く。
戻ると降谷さんも風見さんも車に乗っていて、私待ちだったようだ。
「あーすみません!遅くなってしまって。」
「いや大丈夫だ。それより鳴海さん、半袖で平気か?」
と風見さんは心配をしてくれる。どっかの誰かさんと大違いだ。
「まあ正直寒いです。まさかこれを外で着ることになるとは。」
そうだ、これはもともとスポーツで熱くなることを想定していたから薄着なのだ。冷える夜に着るようなものではない。
すると隣に座っていた降谷さんが車の後ろから何かを取って、投げてきた。見たところパーカーのようだった。白好きなのかな。
「それ、僕のだから確実に大きいだろうけど、着ないよりはいいだろう。」
「もちろん洗ったやつだからな。」と付け加える彼はなんだかんだで気を遣ってくれた。さっき馬鹿にしてごめんなさい。
「あ、ありがとうございます。……なんか、降谷さんの匂いがしますね。」
「……、はぁ。君はなぁ。」
一瞬フリーズしてから呆れられてしまった。
「……あ!? 私いますごく恥ずかしいこと言ってましたよね!?ああ!!忘れてください恥ずかしい!」
「……さっきの言葉、他の男には言うなよ。」
「え?」
不思議に思って降谷さんのほうを見たら、窓の外を見ているようで何が何でもこっちを見てくれない様子だった。
・・・
僕はなんでここにいるんだろうか。運転係だろうか。
降谷さんから食事にでも行かないかと言われて帰りの支度をしていたら、突然鳴海さんを迎えに行くとか言って出ていってしまった。待ちぼうけを食らい、少しでも仕事を片付けようとデスクで格闘すること15分。降谷さんからそろそろ到着するとの連絡が来た。
全く誰のせいで僕はこんなに苦労してるんだか……。
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Toua(プロフ) - 月乃さん» なるほどっ!そういう事でしたか……いや、本当に凄いですねっ!これからも楽しみに読ませてもらいますっ!!! (2019年10月30日 23時) (レス) id: 20fc080c4b (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - Touaさん» ご指摘ありがとうございます!降谷さんの一人称なのですが、原作では緋色回の赤井さんに向けてを除くと基本的に僕のようなので、一応そちらに寄せていました。ただ、実際に僕と俺の使い分けに基準があるのかは私もわかってないですね、、笑 (2019年10月29日 16時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - 素朴な疑問を失礼します。降谷零の一人称って俺じゃないんでしょうか?(間違ってたらすみませんっ!) (2019年10月28日 22時) (レス) id: 20fc080c4b (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - yuzukiyyy2さん» コメントありがとうございます!正直まだエンディング決めかねているので、じっくり見守っていただければ嬉しいです! (2019年6月15日 17時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)
yuzukiyyy2(プロフ) - 大輝くんと夢主の恋が気になる....!! (2019年6月15日 16時) (レス) id: 99f9589e9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月乃 | 作成日時:2019年6月2日 3時