以前の日常1 ページ2
これは、私がまだ異動の話を受ける前の話である。
私はいつも通り出勤し仕事をしていた。勤務先は警視庁の生活安全課である。やることは様々だが、仕事の一つであるストーカー被害の相談を受けたことが私の運命の始まりだった。
今回の相談は、諦めの悪い元カレが家や職場の前で待ち伏せしていたり手紙を何枚も入れてきたりという被害があるということだった。
それを相談してきた女性はまだ21歳と若く、たまたま近所に住んでいる知り合いだということもあり、途中まで一緒に帰ることになった。
「……鳴海さん、ありがとうございます。」
「いえ、普段から西田さんにはお世話になってますから……。」
社交辞令のような会話を交わす。きっと彼女は私が生活安全課にいることを知らずに来たのだろう。中途半端な知り合いに、自分がストーカーされているなんて言いたくないだろうし。上司は気を遣ってこのようにしてくれたのだろうけど、わかってないな。全くわかってない。現にこんなに気まずいじゃないか。
そんなことを一人考えていると、もう彼女の自宅近くまで来ていた。ほとんど上司のことを考えていたが。
「今日はありがとうございました。ストーカー、今日はいないみたいですね。」
「……油断は禁物ですよ。今日は明るいうちですし、いつもと違う行動をしてますからいいですけど、帰る時間が固定されれば当然危険になります。いつでも逃げられるようにしておいてくださいね。」
「はい!鳴海さんに相談してよかったです!」
そう言って彼女は自宅の方へ走っていった。前言撤回、なぜかわからないが中途半端な知り合いでもいいという人もいるようだ。若さからかな。
まあ、そんなことはさておき、
「彼女はもう行った。そんなに私に嫉妬しているなら出てきたら?」
声をあげる。すると後ろから足音が聞こえる。
「俺の、俺の彼女と仲良く話してるんじゃねえ。あいつは俺のものだ。」
ガタイもいい。明らかに強そうな男だ。
「……はあ。ストーカーは何人も見てきたけど、女子にまで嫉妬する人はそんなに多くなかった気がするなあ。」
「うるせえ。お前も彼女に二度と近づかないと言わないと、どうなるかわかるよな。」
「ええ。わかるけど、それでも私が警察官である以上、引けないの。ごめんね。」
それを聞いた途端に男は殴りかかってきた。やはりそういう展開か。
私は彼の攻撃を避けつつ反撃し、どうにか確保に成功した。
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Toua(プロフ) - 月乃さん» なるほどっ!そういう事でしたか……いや、本当に凄いですねっ!これからも楽しみに読ませてもらいますっ!!! (2019年10月30日 23時) (レス) id: 20fc080c4b (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - Touaさん» ご指摘ありがとうございます!降谷さんの一人称なのですが、原作では緋色回の赤井さんに向けてを除くと基本的に僕のようなので、一応そちらに寄せていました。ただ、実際に僕と俺の使い分けに基準があるのかは私もわかってないですね、、笑 (2019年10月29日 16時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)
Toua(プロフ) - 素朴な疑問を失礼します。降谷零の一人称って俺じゃないんでしょうか?(間違ってたらすみませんっ!) (2019年10月28日 22時) (レス) id: 20fc080c4b (このIDを非表示/違反報告)
月乃(プロフ) - yuzukiyyy2さん» コメントありがとうございます!正直まだエンディング決めかねているので、じっくり見守っていただければ嬉しいです! (2019年6月15日 17時) (レス) id: 34cc67c93b (このIDを非表示/違反報告)
yuzukiyyy2(プロフ) - 大輝くんと夢主の恋が気になる....!! (2019年6月15日 16時) (レス) id: 99f9589e9d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月乃 | 作成日時:2019年6月2日 3時