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五刻 ページ7

Aside


私は、孤児で。

厳しい孤児院で育てられて

逃げ出して

野垂れ死にそうな所を、安吾さんに拾われて

そこで初めて

優しさを知った。


だから私は、人に優しくされると直ぐ情が移ってしまう。
これだから特務課の灰被りとか云われるんだ。

「おまえなんか誰も愛さない」


「貴方は特務課の恥ですね」


「温情だけで生きて何も生まない人間に、生きている価値は無い」

安吾さん…何故私なんかを助けたのですか…


貴方に報いることも出来ない人間を…


頭が痛くてはち切れそうだ、苦しくて何も考えられない


「薬が…」

机に置いてある精神安定の薬に手を伸ばす
然し手探りでは中々見つからない。

苦しさが増して涙がこみ上げる


ない

ない


苦しい…



誰か………





ド「これですね…」

「え…」


聞き覚えのある声がして、見たことのある外套が視界の端に見えた。

そこには、頭目が立っていた


彼が差し出した薬を、水と供に呑み込む。


それでも暫く頭が痛くて悶え、泣いていた


「(敵頭目にこんな無様な姿を見られるだなんて…矢張り駄目だな…私は…)」


ド「落ち着きましたか?」


息がうまく出来なくて、答えられない



「ハァっ…うっ………」

嗚咽ばかりが漏れ出す


すると何か、布に包まれた感触があった。


気付くと私はドストエフスキーの腕の中にいた、彼の外套と細い腕に包まれて。
私の顔が彼の肩辺りのファーにうずまる形となっていた。

「とう…もく………。」

ド「黙って下さい、今は何も考えずに…眠って…」


彼は私の背をさすり、只私を抱きしめていた。


安心感と何も考えずにいたことから、呼吸も整い
温かなぬくもりに囚われ大きなまどろみが私を飲む。


頭目の呼吸が聞こえる、心音も、何時も死人みたいな青白い顔をしている癖に、超人的な頭脳と統率力を持っているのに、私と同じ肉の作りで此の人も生きているのか…


ごめんなさい、安吾さん。

私、敵の前で眠ってしまいます。



ド「おやすみなさい、Aさん」



魔神と呼ばれる其の人の声を最後に、

眠りについた。

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かな(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです…応援してます! (2022年12月22日 4時) (レス) @page41 id: a32747b1ee (このIDを非表示/違反報告)
リリ - お話がどタイプです!!!!ぜひ続きをよろしくお願いします*_ _) (2022年8月22日 19時) (レス) @page39 id: e8a57b3ea6 (このIDを非表示/違反報告)
へべ(プロフ) - とても丁寧な文章で面白かったです、更新を楽しみにしています。 (2022年8月16日 23時) (レス) id: 1ff279b551 (このIDを非表示/違反報告)
八雲(プロフ) - 更新楽しみにしてます (2022年6月3日 23時) (レス) id: 3aff7205f2 (このIDを非表示/違反報告)
涙の道化師 - この作品はドスくん推しですか? (2022年4月25日 14時) (レス) id: 2537f89477 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:独裁道化師 x他1人 | 作成日時:2021年10月17日 23時

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