69 追憶/ 約束 ページ19
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「っ…はあ、」
最後の段を踏む頃には、すっかり息も切れていて。
そんなAの前で零先輩は余裕そうに歩いて行く。
( ここ…)
とっぷりと夜も浸かる時に2人が訪れたのは、景色の晴れる丘だった
「…あ〜、ダメそうだな」
だけど高い場所からよく見えるはずの星は全く見えない。
Aは上を見上げる零先輩に釣られて、空を見やる。
「悪い。お前に見せたかったんだけど、見れそうにね〜わ」
「見せたかったって?」
「天の川だよ」
「あ…織姫と彦星のか」
今日渉くんが演じていた、あの。
確か織姫と彦星が仲良しすぎたからお父さんに怒られちゃって離れ離れになったけど、年に1回は会えるようになったんだよね。
( あれ、)
零先輩がベンチに座る。
「ねーねー、天の川見れないってことは織姫と彦星は会えないの?」
「あ? 別にそんなことね〜よ。もし今日が雨だったら、織姫が嬉しすぎて泣いてるからとか。今日みたいに曇りだったら会ってる所を見せたくないから、とか。いろんな説がある」
「へえ…！よかったね、じゃあ会えてるんだ」
ニコニコした顔でAがそんなことを言うから、零先輩は「嬉しいの」と返した。Aはベンチに座りながら「え?」と零先輩を見る。
「星、見たかったろ」
「まあ…見れるなら見たかったけど。私はいつでも星見れるし、2人が会えてるって知れた方がうれしいよ」
「ははっ、なんだそれ。おかし〜ヤツ」
「何で? 会いたい時に会えないのは嫌じゃん！」
「…そうかもな」
そう考えると、七夕って残酷だ。年に1回しか会えないって、Aの誕生日までずっとみんなに会えないってことだ。嫌だな、それ。
( …でも、ママとはもう何年も会ってない )
いつ、迎えに来てくれるんだろう。
体育座りをして顔を埋める。
「どうした」
「…ん〜」
「疲れた?」
「…」
「…やっぱり星見たかったんだろ。さすがに俺様ちゃんでも天気を変えるってのはできないからさ〜…や、できっかな」
「…ふふ、ふ。できないでしょ、零先輩はすごい人だけど神様じゃないもん」
「！」
埋もれてた顔が意地悪そうに笑う。
黄色の瞳がやけに光って見えるのは、夜だからだろうか。
「零先輩は零先輩だもんね」
「…なんだそりゃ」
「そのまんまだよ」
「来年、また見に来るか」
「来年…」
「おう」
「や、約束ね！零先輩っ」
「ん、約束」
小指が綺麗に絡まった。
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かげやま(プロフ) - mmkさん» コメントありがとうございます☺️ かっこよくてカリスマがある俺零を書けてるか不安だったのでそう言ってもらえて嬉しいです〜😿！mmk様もお体にお気をつけてお過ごしください！更新頑張ります✊ (2022年8月15日 11時) (
レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
mmk(プロフ) - すごく面白いです…！！俺零様がとても好きです…！！これからも体調崩さない程度に頑張ってください！更新楽しみにしてます! (2022年8月15日 11時) (レス) @page43 id: 27732d5374 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2022年7月13日 14時
