85. ふたりの曲 ページ35
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ペットボトルを強く握るA。
その目には迷いが映っていた。
「俺、歌うことは好きだけど自分の歌には興味なかったんだ。…正直今もあるか分かんないくらい」
「…」
「…これは言わないつもりだったんだけど、この前あんずに告白しようとした」
「な、」
「する前に自分で諦めたけど…」
言えばよかったのに。あの時頭によぎったのはスバルの言葉で。せっかくアイドルとして自分を輝かせてくれたのに、その2文字を口にしたらきっと、あんずは悲しむと思ったから。
「好きって言えなかった代わりに、俺の歌を聴いてって言った」
「…」
「綺麗だねって、あんずが言ってくれた俺の歌を…ずっとそばで聴いててって」
「ん」
「…最初、スバルが提案した時は断ろうと思ったよ。時間ないし、そんな気にならなかった。でも、でも…スバルが」
何でそんなに一緒に歌いたいのかって聞いたらスバルは、
__ 「Aは歌ってる時がいちばんキラキラしてるから」
「……」
「…うれしかったんだよ。すごく、うれしかったんだ」
自分の歌なんて好きも嫌いもない。歌が好きってだけ。
どんなに褒められても自分の歌が好きになるわけじゃない。
__ あんず、スバルに言われて思ったんだ。
「…あぁ、もっともっと俺の歌を聴いてほしい。
俺の歌が好きな人に、…俺の好きな人に、届いてほしいって…思うようになった」
一緒に歌おうなんて幼稚園生でも言える。
しかし、そんな言葉を言い合えなかったふたりがこうして言い合えるようになったことを。伝える機会になる。
Aが頷いた理由は、ふたりを想っているからだと瑞生は感じた。
「…だから言ったんだよ。不仲ごっこは早くやめろって」
「ふ…!? ごっこじゃないって！」
「思春期拗らせただけの兄弟喧嘩みたいなもんだろ」
「それって俺がお兄さんだよね!?」
「そこかよ」
ふはっ、と声を出して笑う。
そんな瑞生を見て、Aは目を細めて微笑んだ。
「…ん、ある意味瑞生くんのおかげでもあるから。そこは感謝してる」
「感謝してる、じゃなくて してます、な」
「上下関係を作るな」
「上下関係ねえ……。まァどんなにスゲー曲が出来上がろうが、オレらの歌には勝てねーし。せいぜい頑張れよ」
「何でそういうこと言うかな…」
しかも歌う本人にだ。
「心配しなくても、俺らふたりの曲は、歌は、愛してるから」
「…誰が心配だって?」
「…誰だろうね?」
あと5日。
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かげやま(プロフ) - 鈴花さん» コメントありがとうございます✨️私もまたこの2人書きたいなと思ってるので機会があれば…！臨時ユニットのお話も😂 (2月20日 23時) (
レス) @page49 id: 2b4670edb1 (このIDを非表示/違反報告)
鈴花(プロフ) - 一気読みしました！超最高でした！まだまだこの2人の不仲話も仲良し話も読みたすぎる…！あと臨時ユニの話を読みたい！ (2月7日 14時) (レス) @page1 id: cfaa8deb10 (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - 俎板さん» コメントありがとうございます✊無事完結出来ました…！読んでくださりありがとうございました！嬉しすぎるお言葉〜😭🙏次の作品もよかったら…！ (2022年3月26日 2時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
俎板(プロフ) - 完結おめでとうございます…！作者さんのお話大好きです〜！ (2022年3月26日 1時) (レス) @page49 id: 0b4ff99b4b (このIDを非表示/違反報告)
かげやま(プロフ) - 彼岸桜＋αさん» こんばんは！コメントありがとうございます〜…！😖以前いただいたコメントで勇気づけられながら完結へ行けることが出来ました！本当に感謝しています😭最後まで読んでくださりありがとうございました！ (2022年3月25日 21時) (レス) id: d06e41bbdd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かげやま
| 作成日時：2021年7月3日 0時
