中学1年生 : 春・卒業式 ページ6
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「はあ、嫌だ……嫌だ……」
「いつまで言ってんの(笑)」
桜舞う別れの日。ついに来てしまった最悪な日。
_ 卒業式なんて、来てほしくなかった。
お祝いの言葉を伝えるべく集まった男子バレー部が入り口を占領するのは申し訳ないから、と昇降口から少し離れた場所で、私はうずくまって恨み言のように呟いていた。
球技大会から及川先輩には何回か会えた。ていうか部活に来てくれた。
無事青城に合格し、春から高校1年生になるらしい。
ついでに大会の前に別れた元カノといい感じだとかいう最低な話も聞いたけど。
「及川先輩が高校生…無理なんだが……絶対モテまくるじゃん…高校生のお姉さんにチヤホヤされるんだ…えーん……」
「こんなのに憑かれる及川さん」
「人を幽霊みたいに言わないで国見！私は！悲しんでるの！」
つい最近、たまたま歩いていた青城の人を見て、確信した。
あんな白い制服似合うに決まってる→及川先輩爆モテ→遠い存在
……無理ッッ！一生私の及川先輩でいてほしい。
「ていうか及川さん彼女できたじゃん」
「……」
「国見…お前もう地雷の上でダンスすんのやめろ。Aが爆破する」
「付き合ってない！いい感じなだけ！」
「何が違うの?」
何なのコイツ…前まで優しかったのに…。
でもまって、普通に式終わってから会うよね?
どうしよう昇降口から2人が幸せオーラ出しながら出てきたら。息止まる。なんかもう今ですら息しづらい、しにそう。
ここってもしかして宇宙だったり…
コン
「いて」
「なーに蹲ってるの」
「ぉ…おいかわせんぱい」
「やっほう」
筒を手にした及川先輩の他にも、バレー部の3年生が集まって出てきてくれた。
( よ、よかった…！ 女じゃなくて！ )
息しやすい。宇宙じゃない。
卒業おめでとうございます！と飛び交う中、私は及川先輩の腕を掴んだ。
「どうしたの?」
「…しゃ、写真…を」
「…カメラ持ってきたの?」
「…」
「コク、じゃない。…でもまぁいいよ」
勇太郎に急いでカメラを渡して、先生に見えない場所まで先輩を連れて行く。
途中、行動力がすごいな、と言われたけど気にしない。
ハイ、チーズ と同時に寄せられた腰。…腰!?
「顔やばい、勇太郎もう1回」
「…及川さん、俺もめんどくさいんで普通にしてください」
「ごめんごめん」
2枚目は無事かわいい顔で撮れた。
「…卒業おめでとうございます」
「ん、後は任せたよ」
約束も、ね?
にっこりと笑う及川先輩が悪魔に見えた。
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
