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すると、戻ってきたオレンジくんと目が合う。
「ひょあ、さっきの…」
「…君、名前なんて言うの?」
「エッ、ひ、日向翔陽…」
「日向…」
私と10cmくらいの差があるの、かな?
「…あの」
「美咲！帰んぞ！」
「あ、うん…じゃあね、日向」
笑顔で控えめに手を振る。
なんだ、てっきり置いてかれるのかと思った。
影山の元まで駆け足で向かうと、息が苦しくなる。
それを見た影山が「お前、体力なさすぎるんじゃねぇの」と言ってきた。
「…それより、どうするの。もし負けたら」
「負けないようにするしかねェ。あのチビはどうにもならないから、2年の人に頼る」
「…」
「絶対にセッターのポジションは譲らねぇよ」
うん…と私は小さな声を漏らす。
「…そんな顔すんな。大丈夫だって」
「え? なに、どんな顔…」
「不安だって書いてある」
俺がなんとかするから。
( 違う、それじゃ、ダメだ )
ひとりで何とかしようとしないでよ。
「影山、私…中学では余計なことしないようにって思ってた」
「…あ?」
「余計なことして、選手に迷惑かけたくないって。…でも、私にできることなら、やるから」
「…」
「もう見てるだけだなんて言わせない…勇太郎にも、みんなにも。日向のレシーブは私がなんとかする！毎朝5時は大変だけど…」
「お前…」
教えるのは苦手。相手の理解度と能力を把握して、分かりやすく伝えることに徹底しないといけないから。
でも、影山がセッターになるために、勝てるために…。
「…朝はダメだ。お前、お母さんから怒られるだろ」
「うん…そう、なんだけど」
「放課後だったら送れるし、放課後だけだ」
「…！私、教えるの頑張る！」
「フッ…ああ」
そこでようやく、影山の眉間のしわがなくなる。
今日ずっと怖い顔してたから少し安心した。
教え方のコツとか調べよう。やるなら徹底的にやらなきゃ…。
「美咲、お前身長いくつだった」
「173」
「伸びてんな」
「やめてよ」
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
