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体育委員の2人が1枚の賞状をニッコニコで持っているのを、他人事のようにぼうっと眺める。
( はーぁ、及川先輩ともっと話してたかった )
試合が終わってすぐ及川先輩の所に行こうとしたけど、クラスの子達に囲まれて行けなかった。「美咲〜！お前よくやった！すげぇ！」「Aーッあんたならやると思ってた！」普段は私の悪口を言ってるあの子たちが周りの熱で喜んでいたのを見て、なんだかアホらしくなった。
囲まれる前には見えた及川先輩も、すぐいなくなっちゃったし。
「勉強も運動もできて、美咲さんって完璧…!?」
そんな言葉には、苦笑いしかできなかった。
「あの…！美咲さん！」
「…? うん」
「今日はありがとう！本当に、スカッとした」
「…」
「あの先輩にひどいこと言われて引きずってたけど…」
ああ、うん。全然。
私が楽になりたくてやったことだから。あなたのためじゃない。
佐々木さん、自分のことは棚に上げてあの先輩だけを責めるんだねって思っちゃうし。
リュックを背負い直して、微笑む。
「もしかしたら八つ当たりされるかもしれないけど、そうなったらごめんね」
「！」
「部活頑張ろうね」
また明日、と手を振って廊下に出た。
するとすぐそこに影山と宮下が立っていて、「なにしてんの」と目を丸くする。
「我らがマネージャーを待ってた」
「…やめてよ、バカにしてるでしょ」
「してないしてない」
「美咲、今日悪い癖出てたぞ」
「はぁ…いいよもう、勝ったから」
どうして私の周りにはバレー馬鹿しかいないんだ…?
でもコイツらのおかげ、なんだよね。
影山のサーブレシーブ、双子のディグをやってなかったらここまで上手くいかなかった。
「都合よく扱われるのも大変だね」
「…、私もそう思ったけど、1番平和に終わったからいいんじゃない?」
「…美咲って何されれば泣くの?」
「は?」
「俺、美咲以上にかっこいい人知らないよ」
「及川先輩」
「あー、はい」
何はともあれ、これで万事解決、でいいよね?
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
