中学3年生 : 冬・準備期間 ページ36
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「どうかな…もう今の時点で迷惑がられてるから」
「やからこっち来い言うとるやろ！なんっっでそっちの高校にすんねや!?」
「…」
「意味わからん！俺らより優先するのがあるんか！」
「まぁ落ち着き。Aはこうして受験の中会いに来たんやから」
体育座りで単語帳に目を通す私と、ブチギレている侑と、それを宥める治。
行く高校について。最初は少し拗ねただけだったのにお母さんや向こうのおばあちゃんの反応について話すと冒頭のようにブチ切れだした。
分かってたけども。
それにしても男子高校生の図体で怒鳴られると普通に怖いからやめてほしい。
「おまえ…兵庫から出ていく時に約束しよったんに、嘘やったんかあれは！」
「…嘘じゃない。でもあの時は宮城がどういうとこなのかも、どういう人がいるかも分からなかったから」
「……アホやわ。アホや」
「侑に言われたくないよ。…私と一緒にいたかったのにって怒ってくれるのは嬉しいけどさ、私、侑の物じゃないんだよ」
「！」
単語帳から顔を上げて怒ったような悲しんでいるような、そんな顔をした侑と目を合わせる。
2人が私の居場所であることは変わらないけど、そこに縛りがあるなら話は別だ。
「…本当金髪似合ってるね、かっこいい」
「っ〜〜そんなんで、俺が許すとでも…！」
「治もグレー似合ってる」
「おん。Aも高校入ったら髪染めたらええよ。ピンクとか似合いそうや」
「ピンクぅ? 浮いちゃうよ、田舎だもん」
髪の毛染める、か。考えたこともなかったな。
黒髪が嫌なわけじゃないけど…。
「…嫌や。Aは俺のやもん」
「…侑」
「俺らずっと一緒やったのに…」
「それ、Aが引っ越す時にも言っとったな。女々しいからやめい」
「うっさいねん！」
ああ、あの時ね。侑は言わずもがな、治も大概だった気がするよ。
私はため息をついて侑の腕に抱きついた。
「な、なんや…」と眉をひそめつつ頬を染めている侑。
「結局、どれだけ距離が離れてても壊せない縁はあるよね?
こーんなに仲良い従兄弟めったにいないもん」
「…」
「ね、侑。一緒にいるだけがすべてじゃないよ」
「…男作ったら男共々殺したるからな」
「怖すぎ」
「それは俺も思っとるわ」
治まで?
クスクス笑うと、ごつんと頭をくっつけられた。
…これ、今付き合ってる人がいるって言ったらどうなるんだろう。
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
