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「高校、どこ行くの?」
廊下を歩いていると、急にそんなことを聞かれた。
振り返ると宮下がニコニコして立っている。
「決まってないよ。宮下は?」
「へえ、学年1位様がまだなんて、先生方は気が気じゃないだろうね」
「…宮下はどこ行くの」
「俺は東京の高校に行くよ」
「えっ!?」
びっくりして大きな声を出したから一気に視線を集めた。
私は階段の踊り場まで宮下を引っ張って詰め寄った。
「東京って…！」
「引っ越すことになったんだよね。だいぶ前から決まってたんだけど、俺の受験に合わせることになってさ」
「…そう、なの。知らなかった」
「他の奴らには言ってないし、言う気もないからね」
「なんで?」
「…まぁ、最後があんなんじゃなかったら言ってたよ。『全国で会おうぜ』的な。でもそんなの言えないでしょ」
全国行きが決まる決勝であんなことしてんだから。
ぐっと喉がつまる。
あんなこと、って。やったのは
「はは、やっぱり美咲怒ってるんだ」
「…?」
「俺らに何も言わないだけで、影山のこと見捨てたの怒ってるんでしょ?」
「そんなこと、」
「あるよ。顔がそう言ってる」
「…」
「高校迷ってるなら、影山と同じところにしたら? あんなことあって青城には行かないだろうし」
「…宮下は、影山のことどう思ってるの」
王様というあだ名を1番使っていたけど、影山に対して怒っているのは見たことがなかった。
行き過ぎた発言に対しても「すごいねえ」と笑うだけで。
だからこそふざけて呼ぶのを止めていたのだけれど。
「…俺はただ、罪悪感を消したいだけだよ」
「……」
「じゃあね。高校決まったら教えて」
ずっと、何を考えているのか分からなかった。
この3年間の中で初めて、宮下の弱々しい表情を見た気がする。
…罪悪感。そうだ。みんなだって、持ってないわけない。
影山のことが嫌いでも…。
…持ってないって、言ってほしい。
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
