【HQ】好かれたい女の子の話。Ⅱ (ページ32)

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中学3年生 : 夏・拒絶ページ32

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__ 影山が気づくよりも先に、見てしまった。

「ぇ?」と小さく声が洩れる。

無慈悲にもボールが床に落ちたことを示すホイッスルが鳴り、手に持っていたペンが手から抜け落ちた。

監督が影山の名前を呼び、私はそれをただ見つめていた。

「お前もうベンチ下がれ」

_ まだ、何が起きたのか理解できなかったから。

どうして影山のトスは誰にも打たれずに落ちたのか。
他のアタッカー陣は何をしていたのか、どうして攻撃に入らなかったのか。

原因は今までの影山の言動や行動、すべてだった。

だけど決め手は、

「もっと速く動け!! もっと高く跳べ!! 俺のトスに合わせろ!! 勝ちたいなら!!」

怒号が、苦痛が、執着が。
みんなには耐えきれなかった。きっと影山本人ですら。

彼らは全国大会へ進むことよりも、影山を捨てることを選んだのだ。

( こんなこと、)

起きるなんて。思わなかった。

だけど、本当に?

今までだって勇太郎たちが苛立って駒みたいに扱われることを否定していたのを知っているのに、私はそれを予想出来なかった?

…違う。そんなことするわけないって、思ってたんだ。

あーだこーだ言っても、スパイカーは打つしかないんだって。
影山を1人にしないようにしたい? 何を、偉そうに。

中途半端に味方して、どっちにもいい顔見せたい卑怯者の私が、人を支えるとか。向いてなかったんだ。

マネージャーなんて、やらなきゃよかった。

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