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「タイミング遅えよ!! 速攻はもっと速く入って来いっつってんダロ！」
影山の怒号がコート中に響く。
さっきもドリンク作ってた2年生が怒られたらしいし、大会なのもあいまってイライラしてるんだろうなぁ。
この大会は最後の大会でもあり、未来へ繋がる大会だ。
高校の推薦がかかってる…。と言っても、影山も青葉城西に行くんだろうけど。
( 今日は速攻の打率が低そうだ )
そして試合開始。
相手の雪ヶ丘は試合人数ギリギリの、まるで初心者を集めたような学校だった。
緑のユニフォーム、主将のオレンジくんは明るい声をかけている。身長は私と同じくらいか、それより下?
「行けえ、翔ちゃん!!」
変な音が鳴ったトスが上がり、オレンジくんが助走に入った。
囮はいない。あのオレンジくんだけ…
瞬間、彼はトスを打つために飛んだ。
( た、っか!? )
あんなジャンプする人初めて見た。
だけど
…もったいないな。ちゃんとしたセッターだったら、点が取れるかもしれないのに。
トントンと進んだ試合は今までで1番早い30分程で終わり、点差は大きくついて、ウチの圧勝。
当たり前と言えば当たり前だけど、選手たちの顔は複雑そうだった。影山が終了の挨拶直前でオレンジくんに怒鳴っていたのは驚いたけど。
その後も地区予選は優勝することができ、見事県予選への切符を掴んだ。
「あーー疲れた。美咲おんぶして」
「やめてよ。お、も、い！」
「いたたた」
「…宮下、今日肩調子悪かったでしょ」
「はは、ばれてーら。よく分かったね」
そりゃ、分かるよ。見てるから。
見てることしかできないから。
「無理しないでよ。宮下いないと」
「うん?」
「…そんなニヤニヤしてるんなら分かってる。言わない」
「なんで言って。俺美咲の応援ないと頑張れない」
「……宮下がいないと、勝てないから。がんばって」
「…」
急に黙りこむ宮下。え、は? 言えって言ったよね?
すると急に腕を掴まれて、その方向に首を動かす。
「影山?」
「…」
「ハイハイ。王様の美咲は返しますよ」
「チッ 美咲、スコア見せろ」
「あ、はい」
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作者名：かげやま
| 作成日時：2024年3月14日 13時
